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水棚沢
升田 直子

山行日 1986年4月27日
メンバー (L)今村、大久保、荒川、牧野、本山、国分、升田

 4月26日、沢にはまだちょっと、ちょっと涼しいかなという感じの夜。稲郷キャンプ場を少し過ぎた赤い橋の上で車中泊、またはテント泊となりました。メンバーは滝郷組、中沢さん、湯谷さん、溝手さん、高橋(千)さん、鈴木(章)さん。水棚沢組は今村さん、大久保さん、荒川さん、牧野さん、本山さん、国分さん、升田と揃いも揃った多人数。勿論宴会なしでは考えられない三峰の山行に慣れてしまった私は、この日も楽しく騒ぎました。酒の肴として話題に挙がった人・・・・何人かいましたねえ。
 翌朝6時30分出発。5分ほど歩いた所で滝郷メンバーと12時に檜岳合流の予定で別れました。水棚沢へは始め階段状の雨山登山道を通り一番最初の堰堤に出ます。ここで草鞋をはいたり、水を飲んだり汗を拭いたり、各自のんびり準備をして、7時10分いよいよ溯行開始。
 まず最初の堰堤でつまづき、足の置く所がなく結局今村さんの膝を借りて上がったのですが、いざという時一気に這い上がる腕力も身につけておくべきだと思いました。それからは4ヶ所も堰堤を越え、だんだん幅も狭まり谷らしくなってきましたが、先週の大持沢の時よりも緑が多く、鳥の声、薄紫のすみれや白く可愛らしい小花と、これからは沢のシーズンなんだなと考えると一人でウキウキしていました。
 2・3の小滝を過ぎてしばらくすると今村さんの"あそこが20mの滝だよ"と指差す方を見てガーン!!、想像以上でした。そこは10mが二段になっていて、トップの荒川さんは左側よりフリーで登り、途中駄目だと思っても降りることも出来ず強行したそうです。続いて大久保さんもフリーで苦戦したようですが、ルートが見当たらず断念。今村さんが上からザイルを降ろしてくれて残る5人は右側を登りましたが、荒川さんのヒョイヒョイと登る54kgの身軽さには全員脱帽でした。
 下段が終わり、さて上段と思い滝の下まで来ると、運動会のリレーの前のようにドキドキして、自分の順番が来るまで緊張のしっぱなしでした。
 国分さんも私も最後にとり残されるのが不安でお互い先を譲らず、既に登り始めていた先輩の牧野さんを呼び戻して、私たちが登り終わった後に来てもらった次第でした。この時も腰で8結びにして慎重に行動しましたが、上部までもうちょっとというところで、頭から水を浴びて全員ずぶ濡れの状態でした。下で順番を待っているときはルートを目で追うのですが、自分が取り付くと足場が見えなくて"あれおかしいなあー"と戸惑うこともありました。
 この大棚に大分時間を費やしましたが、全員無事登り終えて記念写真。その後今村さん曰く"本当は高捲きの予定だったけれど荒川さんが先に登ってしまったから・・・・"。続いて大久保さんが丹沢ではこの場所がよく落ちるんだよ、と言う二人の言葉に少しショックを受けて登る前に聞かなくて良かったと思いました。
 手足が大分冷えましたが無事に今回のコースの核心部を通過し、あと数ヶ所の滝と堰堤を越えれば合流点の檜岳でしたが、10mの滝のところで右に高捲きしたところ、だんだん雑木林に入って行き、ルートを間違ったことに気が付きましたが、足場も悪く小石の落石で終始"落、らく"と声を掛け合っていた状態だったので引き返すのは止めて、そのまま山頂を目指すことになりました。
 水の中を歩くのが好きだったので、あの涼しさがあっけなく遠のいてしまったことがとても残念でしたが、再度挑戦しようとみんなで確認し合いました。11時30分今村さんが"地図上での現在地の確認とこれからどこのピークに出て、そこまでは何分、何mあるか各自予想しておくように"とクイズを出しました。
 11時50分、昼食をとりしばらくすると、どかからか「モートー」の声。そういえば12時に檜岳合流の予定が、未だ着かない私達を心配しての合図で、今村さん大久保さんがモートーの返しをしましたが、風の関係か先方には届かなかったようでした。
 12時30分、渓流足袋からスニーカーに履き替えて雨山山頂に13時到着。先刻のクイズに当たった人は何人いたのかな、私はピーク以外はみごとハズレ。勉強不足でした。そこからはすぐ雨山峠へ。稲郷方面にと下りましたが、途中、辺りの山々に沢山の山桜、山つつじが見られ、ほんわりした感じで思わず、日本昔話に出てくるような風景を連想しました。下りは以前から膝の調子が良くなかったので、牧野さん、国分さんが一緒にゆっくり歩いてくれましたが、その分先に着いた人を大分待たせてしまいました。今村さんからも"女性は話し込んだりでペースが遅い"と注意を受けました。本当にすみませんでした。
 今回の沢は初回に比べて、10m前後の滝が割合に多く全く違った感じがしました。山行に参加するたびに、新しいことばかりで、また沢も滝や岩を登ったり、ヤブこぎがあったり、縦走ありで色々な様式が含まれ趣がありますが、良く言われるように安全第一で、十分気をつけてこれからも続けて行きたいと思います。


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