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鳳凰三山
木村 幸治

山行日 1986年7月26日~27日
メンバー (L)廿楽、服部、高木、木村

 明日は初の南アルプスだというのに、東京はどんよりと曇った空に覆われていた。僕にとって久し振りの山らしい山である。南アルプスへの期待が高まる中、列車は甲府へと出発した。
 甲府には23時24分に到着し、バス停で仮眠。翌朝4時のバスで出発するはずだったが、思ったより多くの人数がバスに乗り込んだため、我々はバスに乗ることができず、タクシーで行くことになった。快調に飛ばすタクシーの外の風景も、次第に明るくなってゆく。
 夜叉神峠入口には5時前には着いたが、あいにく小雨が降っている。しかしその雨も歩き出す頃にはほとんど止んでいた。6時20分夜叉神峠到着。ここからは北岳などが眺望できるため、しばし一服、服部さんが持ってきたプラムが好評だった。
 再び歩き出し、10時には初日の宿泊地になるはずだった南御室小屋に着いてしまった。しかし、余りにも早く着きすぎてしまったため、ここでは昼食をとるだけとなった。南御室小屋の水は冷たく、非常においしかった。のどを冷たい水が通りすぎる快感に感激。
 昼食後、11時に出発し、12時に薬師岳頂上に到着。記念写真などを撮って、次の観音岳へ。この辺にくるとガスが大分濃くなってきて、北岳や甲斐駒ヶ岳も時おり、その一部を見せるだけだった。観音岳から後は地蔵岳へ行くだけだが、ガスのため鳳凰小屋に下ることになった。
 翌朝3時起床。みそ汁と餅を食べて、4時暗闇の中を、地蔵岳に向かって出発。約1時間の後、我々は真紅に染まる空を、突き上げる感動と共に見つめていた。小屋に戻って遅い朝食をとる。赤飯が泣かせてくれた。
 今日の行程は、後は下りだけである。途中滝を見ながら約3時間30分かかって、青木鉱泉へと下山した。鉱泉に入って冷たいビールを飲むだけだ。
 今回の山行は、初め天気が心配されたのだが、結局は晴れ間も見え、メンバーの体調も良かったみたいで、楽しい山行でした。


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