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中抜きの日光白根山
牧野 美恵子

山行日 1986年7月27日
メンバー (L)牧野、伊藤、熊田

 これは私が初めて計画した例会です。はたして何人位この例会に参加するかしらと思い期待と不安に胸をドキドキさせながら7月16日のルームに出席すれど、結果は参加者"なし"とのことでホッとするやらガッカリするやら。
 ところが7月25日の夜に伊藤さんから連絡があり、この例会に伊藤さん、熊田さんが参加されるとのこと。(お二人とも義理堅いというか、やさしいというか。まあ両方を兼ね備えていらっしゃるのだと思いますが。)
 当初は下町「町屋」に住む私にとり新宿より、はるかに近い東武浅草駅発の山岳夜行を利用する予定でした。しかし、結局は車利用となり、まずは三軒茶屋への旅に始まり、続いて調布へまわりそれから浦和IC、東北自動車道を経て日光湯元には午前2時過ぎに到着。町屋を出てから延々7時間の旅をしてしまいました。日光って遠いなー。
 翌日、6時起床の予定が8時になってしまい、出発は9時30分になってしまった。予定より大幅に出発が遅れてしまったため、奥白根は時間的に無理かなと思い、まあ前白根山あたりまで行ってみようかなと思いつつ登り始めた。
 最初から急登の連続である。急登がこんなに続くなんておかしいなあと思いつつ、吹き出る汗と追いかけっこをしながら登り続ける。ああ、やっぱり! 下降路として予定していた中曽根尾根に取りついてしまっているようだ。どうりで急登が続くはずだ。
 急登にあえいでいると、突然私の前を歩いていた熊田さんがもの凄いドウキがしてしょうがないとその場に座り込んだ。足がつりそうだと言う、そのうちに気分が悪いとのことで、草むらに入って行ってしまった。4・5分して草むらから顔を出した熊田さんを見て、私はギョッとしてしまった。その顔色には一滴の血液も流れていないように見えた。しばらくして草むらから熊田さんが出てきた。本人はもう大丈夫だからとおっしゃっていたが、いつもの熊田さんスマイルが見受けられない。登るのをこのまま続行しようかどうか迷ったが、熊田さんの先程の顔色を思い出し、即下山と決定。
 しかし、まだ時間も早いので白根沢の方から登り直そうかと、湯元スキー場へ向った。スキー場のあたり一面にニッコウキスゲが今を盛りと咲き乱れていた。とりあえずリフトの一番上まで行ってみようということになった。胃がむかむかしている。余り体調が良くない。
 天候も悪い方へと向っているのか雲の量がだいぶ増えている。リフトの終点近くで一本とっていると日光連山がだんだんガスの中に隠れていってしまった。
 とまあ諸々の事情がありまして今回の山行は、ここで打ち切りとした。
 私の場合、今までは誰かの計画した山行に気楽に参加しているだけでした。でも今回の山行を計画してみて、それはハイキングであったにもかかわらず、事前調査の大変なことや色々な面でプレッシャーがかかることを痛感しました。
 この山行は奥白根山への登山口と下山口をしっかり確認した"中抜き白根山"となりましたが、お忙しい中、無理に(ご当人たちはそうはおっしゃいませんけれど)参加いただきました伊藤さん、熊田さんに紙面を借りましてもう一度御礼申し上げます。ありがとうございました。


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