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山と温泉そして露天風呂
牧野 美恵子

 三峰山岳会入会前には温泉は私の意識外にあった。温泉というと「宴会」「爺ちゃん、婆ちゃん」「歓楽街」くらいしか連想しなかった私です。
 ところが何時の頃からか「山」「温泉」「ビール」が私の山に対する三ツ道具ならぬ三ツ言葉になってしまい、意識もかなり変ってきています。
 三峰入会以来あちこちの温泉に行きましたが、印象強く残っている温泉はというと、先ず西山温泉です。まだ入会間もない頃、白峰三山縦走の例会があり、下山後は奈良田温泉直行の予定でしたが、門前払いを喰ってしまった。前日は下着までびっしょりの濡れネズミ。下山日の当日はピーカンで汗だらだら。私達の風体がよほど汚らしかったと見える。
 奈良田温泉入浴拒否を受けた結果、地元の人に紹介されて行ったのが西山温泉、浴室に入っただけでフワッと木の香りがし、気分が和む思いがした。総檜造りの温泉に浸かり手足を伸ばすと気分までほぐれ、4日間の辛かった縦走も終わったんだなと実感し、心身共にリフレッシュできた。どうやら山行がきついほど下山後の温泉に対しプラス方向の独断と偏見が強く作用するようです。
 二番目に大丸温泉。ここは露天風呂、それも女性専用がある。沢を塞き止めたような形の、それはまた大露天風呂の上流に位置していたので、思わず大露天風呂を覗いてしまったが、幸か不幸か木の枝に邪魔されて良く見えなかった。
 幸の湯(これも那須にあります)の露天風呂も印象強く残っている温泉の一つです。女性専用の露天風呂があるとO氏に言われ、見てみれば本当に女性しか入っていなかったし、脱衣所も男女別になっていた。それではとザブンと温泉に入り、周りの景色でも味わおうかと、どの方角が一番いいかなと探しているうちに、見知らぬ男性が2~3人入ってきてしまいました。はてなと思いつつ方向を変えてみると他にも1~2人男性がいるではないか。O氏の冗談に乗せられてしまったと気が付いた時はあとの祭り、慌てふためいては目立ってしまうし冷静を装い、この男性達が出るまで温泉に浸かったまま、待っていようかなと思ったが、だんだんのぼせてきてしまったので素知らぬ顔をして、足早に脱衣所に向かった。
 教訓。夜道と温泉場では男性からの親切な言葉掛けには、くれぐれもご注意。
 でも露天風呂での開放感は何とも言えず素晴らしいと思う。やみつきになりそー。何時の頃からか温泉を山行の一部として見るようになってしまった。これからも山に温泉に大いに楽しむぞ。老若男女のヌードにもかな。まあこれには私自身の意識の改革と、そしてほとんど不可能な肉体の改革にポイントがあるようです。


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