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武尊岳キノコ狩
野口 孝司

山行日 1986年11月2日~3日
メンバー 田原父子、藤居夫妻、山本(義)、渡辺(恵)、国分、野口、他1名

 11月2日、晴、朝8時荻窪駅前に集合、最初の予定では15名位が参加するとの事であったが、各人の都合で9名に減ってしまったので、マイクロバス1台を田原氏の運転で出発する。途中、寄道をして中村順氏に子供さんが生まれたとのことで、挨拶をかねて顔を見に行く。生後7日目だそうで、未だ名前がついていないとの話ですが(後日、清美さんとつけた由)、恭子夫人が寝ているのに抱いて皆さんにお披露目して下さいました。とても可愛い女の子でした。元気で育ちますようお願いして出発する。
 練馬より関越自動車道に入るが、連休の初日とて車がこんで大渋滞。川越ICを過ぎ鶴ヶ島ICまで来たら少し流れるようになり、途中、高坂SAで小休止する。深谷あたりから天気が良くなり、前方に赤城山、榛名山が見える。渋川近くになると、白く化粧した谷川連峰が姿を現わすと、まもなく沼田ICである。
 これより120号線に入り、薗原ダムを下に見てカーブの多い峠をこえると、間もなく老神温泉である。吹割の滝は上の展望台から見たが今回は水量が多いので、下から見た方が良かったのではないかと思った。追貝で120号線より別れて左へ曲り、武尊スキー場手前の看板に導かれて、民宿永井荘着が13時50分。
 早速、キノコ狩の準備にとりかかる。各人ビニール袋やザル、ナイフや小形のスコップを持ち、宿の奥さんに教えられた道を行く。(当日は永井荘の主人が案内してくれる予定であったが、村民スポーツ大会で不在でした)処が途中で道を間違えて鳥居をくぐって山道を行くが、とうとう車がストップしてしまったので、ここに車を置いて山に入る。各人別々に行動して、なんでもそれらしき物を取っているが、あとで振り分けてもらったところ食べられるキノコは収穫の5分の1ぐらいで、私などは小さな黄シメジ1個だけという惨憺たるものでした。たいしたこともないので山本義ちゃんと、渡辺のオカアちゃんと私の三人は下山することにし、ぶらぶら歩いて永井荘まで帰って来て、テレビを見ていたが、あとの六人は待てど暮らせど帰ってこない。日も大分かたむいた頃、笑顔で帰って来たので聞くと、宿の持っている山に入り、ナメコを沢山抱えて来た。仕舞った、先に帰ってきたのが悪く、明日行っても無いと思いたずねると、藤居さんが明日のために残してきたわよ、と言うのでジョークで藤居さんが歩いた跡はゴミも残らないと言ったら、蹴飛ばされそうになった。
 夕食はバーベキューでビール、明日は藤居さん夫婦の結婚記念日なので、今夜は30ウン年目の前夜祭。沼田で買った地酒2本の差入れがあり、田原氏のお父さん持参の尺八を伴奏に民謡を歌ったり、カラオケで演歌をデュエットしたり、国分加津子さんにダンスの講習をしたり騒いでいる内に、永井荘の主人がほろ酔い機嫌で帰ってきて合流する。聞けば男子ソフトボールは6チームで5位。女子バレーは10チームで10位とのことで、残念会で飲んできたのだろう。これはとにかく、キノコ狩りの案内をしてくれるとの事なのに留守で、今日の収穫は大したことがなかったと愚痴をこぼすと、平身低頭して、明日は山の向こうの良い処へ案内するからと言うので了解し、又飲み直しする。
 11月3日、晴のちうす曇り、朝食は7時。仕度を整えて宿のマイクロバスで8時出発する。武尊スキー場よりかなり奥の林道を約30分位行った所で車を止め偵察したが、人の入った跡があるのでもう少し行った所で、いよいよ作戦開始、先ず細かい注意を受け、カラ松林と熊笹の崖を下って行くと、倒木にキクラゲがびっしりと付いていたのを皆んなで取ったが、この付近には余りないので熊笹の中を沢まで降りて、探しながら遡行すると、猿の腰掛が10数個ついている大木があったので、行ってみると、根元の一部が朽ちているところにナメコが密生している。喜んで取りつくしたが、猿の腰掛はかたくてナタでなければ取れないので諦める。
 なおも探している内に集合のモートーがかかり、密生している熊笹をかき分け林道まで登る。戻ってきた宿の主人の話では、上流まで行ったが人の入った足跡があるので駄目だったとのこと。(キノコ狩に来る人は休日が多いので、金曜日あたりに村人が入って取ってしまうらしい)又、対岸に行ったメンバーは木に熊のツメ跡があったのでヤバイとの事。思ったほど取れなかったので、ではうちの山に行きましょうと言う事になり、もと来た道を引き返す。今年は雪が早く来たので、このあたりの紅葉は青いうちに落葉した木が多いとの事ですが、まだまだ私達の見る限りでは、若干盛りが過ぎたくらいで、結構楽しませてくれた。
 永井荘の山林は4ヶ所あり、その内の一つの山林手前に車を停め山に入る。皆んなはどんどん登って行くが、私は手前から黄シメジを取っていると、上から早く登って来るようにと声があったので登って行くと、枯葉に埋った倒木を見つけて掻き分けると、ナメコがびっしりと付いている。ナイフで元からそっと削り取り袋に入れる、また採っては袋に入れるの繰り返しで、数ヶ所ほど採っていると、皆んなはぞろぞろ降りて行く、気にかけていたが、その内に降りてくるようにと名前を呼ばれてしまった。腹の中では自分達は昨日も採っているので充分におみやげが出来たんだろう、もう少し時間をくれても良いのではないかと思ってはみたものの、団体行動ではいたしかたなく、後髪を引かれる思いで下山にかかる。山いも(ジネンジョ)は帰りに掘るつもりだったが忘れてしまった。
 昼食は山菜料理にウドンですませ、永井荘の家族に見送られて出発する。連休なので車は結構こんでいる。昨日下見をしておいた、老神温泉の若の湯へ急ぐ。この若の湯旅館は老神温泉では源泉が2ヶ所しかない内の一つとかで、駐車場は一杯である。行楽帰りにみんな一風呂浴びて帰るらしい。露天風呂は男女別で目隠し程度の仕切があるが、雑なもので覗き見はOKというしろもので、おかあちゃんに逆覗き見され、田原氏がふるえが来たと言うので、さらばと私が堂々と覗いたら藤居さんのボインが目に入ったので、思わず神主の仕草で祝詞(ノリト)を上げました。
 帰りはもと来た関越道を沼田ICから入り、高崎を過ぎたあたりから、所々渋滞があったが、まあまあ順調に走り、練馬の料金所を出たら谷原の交差点までが大渋滞であった。日は暮れ街の灯がなつかしくなった頃、阿佐ヶ谷駅前に到着し解散した。しかし、それから数日間は、ミソ汁に、スマシ汁に、マゼ飯にと毎日同じオカヅでまいった、まいった。


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