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雲取山集中山行
その1 荒沢谷
吉岡 誠
山行日 1986年9月7日
メンバー (L)吉岡、井上、月山、今井、田中、廿楽、本山、千代田、作田

 前日の雨の影響でかなり多い水量の中での遡行となった。出合いからこれといった悪場もなく、順調に進んだが、桂谷を分けて初めてゴルジュとなった。幾つかの滝を越えるとベンガラの滝となった。左の窪みより高巻き、下降は懸垂となった。ここで美紀ちゃんが思わぬ怪我をしてしまい、その後だいぶ苦労した。気をつけねば!
 その後も平凡な遡行が続いた。ただし水量だけは多く、時々足をとられそうになったりする。井戸渕のゴルジュは右岸(左側)よりの大高巻きとなった。一歩一歩注意して上がればわざわざザイルを出すまででは無いが、その時々での判断はむずかしいものだ。自分が行けても他の人が行けるとは限らないから。
 井戸渕を越え、一休みの後先を進むが、ここでとんでもない程時間がかかってしまった。何でもないゴルジュと思ったら、水量が多くて取付けない。右から大高巻きをしなければならない。ズルズルの草付きから不安定なトラバースを強いられ、最後はザイル一杯の懸垂下降となってしまった。9人が河原に着くまで1時間以上の時間がかかってしまった。ガイドブックのルート通りには進めずに、かえって自分の目でルートを選択して行く訓練になり、面白いがリーダーとしては冷汗ものだ。
 その後は再び穏やかな流れとなり、右より狼谷を分け、更に流れが大雲沢と北雲沢に分れ、北雲沢に入り傾斜の強いガレを登り、スズタケをかきわけると小尾根に出た。踏み跡が微かに続いていた。後はこれを詰めるだけだ。約1時間程雑木の林の中を進むと雲取山の巻き道に出てすぐに雲取小屋に出る事ができた。頂上まではもう一投足だ。頂上には皆が笑顔で待っていた。


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