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鷹ノ巣谷・沢登りオープン戦
大久保 哲

山行日 1987年4月11日
メンバー (L)岩崎、大久保

 例会の数日前になって、急に土曜日の休みが取れ、ヨーカン岩崎氏と金曜の夜の中央フリーウェイを奥多摩へ向う。"沢登りオープン戦"の開幕である。11日は鷹ノ巣谷へ、12日は今村氏を始め5人が合流して逆川を遡行する計画である。
 東日原の駐車場を9時に出発。15分位で日原川にかかる巳ノ戸橋に着き、橋を渡り右を行くと稲村岩を巻いて鷹ノ巣山へ向う尾根道で、左が仕事道。この仕事道を行くとすぐに鷹ノ巣谷に出合う。遡行案内では伏流となっているが水が流れている。沢仕度を整え遡行開始。先ずは手入れされたワサビ田を右に見ながら進む。間もなく先を行くヨーカンが冷水の洗礼を胸まで受け、首から下げていた一眼レフのカメラも水びたし。中を開けたら何とフィルムまで水にぬれていた。悔しがるヨーカンを横目に私はしっかりフジのタフガイを手に握りしめニヤリ。"沢にはこのタフガイだよ"と思わずつぶやいてしまった。
 さて、遡行は何の苦もなく続く。それにしてもワサビ田の続くこと。くの字滝を直登し間もなく20mの大滝が現われる。滝の中程より上右壁に棚があり、容易に登れそうだったので直登する。先行くヨーカンが岩がもろいと注意するが、棚の下3m位で止ってしまった。オープン戦でもあるのでここは無理せず、下にいた私が高巻き滝の上に出てザイルを下す。
 大滝を過ぎると右に左にワサビ田が広がり、まるでワサビ田の中を遡行しているようだ。金左小屋窪の合流に着き、つめに入る。傾斜もきつくなり、水量も減りガレになってきた。ガレを水根山よりに注意して進むが踏跡が少ない。しだいに身丈の倍もある笹ヤブが現われ見回すが、これといった踏跡もなく地図とコンパスでヤブに突入。後で聞いた話だがこの鷹ノ巣谷は最後はつめずに仕事道を下るのが一般的らしい。ヤブの中はまるでアメフトのディフェンスの中を突進するがごとくすさまじい。先行く私とヨーカンの間は少しずつ離れ、互いにモートーコールをかけ合い進む。どうも途中から鷹ノ巣山寄りに進んでいる様だ。それでもヤブの間から見える鷹ノ巣山頂を目印に進む。地図とコンパスで現在位置を確認しながら進むがいっこうにヤブをぬけ出せない。時計を見ると14時を回っている。ふと出発が遅れたのを悔みながら一歩一歩進む。目の前が開けたと思ったら何やら人の頭が見える。さらに進むと鷹ノ巣山頂からすぐ下の尾根道へ出た。ほっと尾根道でへばりこむ。この沢の魅力は最後のつめにあるのでは・・・・。山頂で写真を撮りすぐに下山開始。ヤブで全体力を集中したためか長く続く急斜面ではひざが痛み出し、巳ノ戸沢の出合に着く頃には日が暮れてきた。
 それにしても今回の沢は沢は一級でも、ヤブは三級の上位であった。沢の師匠不在の沢も下山して見ればまた楽しく、満足な気分で、その夜も酒をくみ交わす。

〈コースタイム〉
東日原駐車場(9:00) → 鷹ノ巣谷(9:15) → くの字滝(10:15) → 20m大滝(10:38) → 金左小屋窪(11:32) → 稜線(14:25) → 鷹ノ巣山頂(14:45) → 稲村岩(16:06) → 巳ノ戸橋(16:42) → 東日原駐車場(17:00)

☆なお、翌12日の逆川は、岩崎、今村、荒川、牧野、本山、他1名で出発したが、遡行途中でミゾレ模様となったため中止した。


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