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八ヶ岳(阿弥陀岳北西稜、中山尾根)
竹内 美智子

山行日 1987年2月21日~22日
メンバー (L)中沢、金子、高橋(弘)、井上、竹内

 車で行くと宴会ができる。ゆっくり眠ることもできる。でも、つい出発が遅くなってしまう。そんなわけで北西稜の取付きについたのは11時頃であった。じゃ、今日は登るのはやめにして、明日がんばろう、ということになる。取付きでテントをはっても良かったのだが、行者小屋がすぐだから、そこまで行きましょうと誘う。実は、これは北西稜には行ったことのある私の作戦であったのだ。そしてその晩は、北西稜に登るつもりで来たみんなに、中山尾根に行きたい、行きたいと訴え続ける。
 そして翌日、中沢さんはリーダーとしての犠牲的精神からか、念願の北西稜をあきらめて、私のわがままにつきあってくれることになった。そして他の三人は、予定通り北西稜へ。
 中山尾根へは、中山乗越からトレースに導かれて樹林の中を登る。ラッセルもなく、小屋から1時間ほどで、下部岩壁の取付きである。ここでアンザイレンして、中沢さんトップで登る。30mでピッチを切り、次は私がトップ。そこを左へ回りこんで最初の一歩、最初のピン。このピンになかなか手が届かず、怖かった。その後はしばらく雪稜が続く。5ピッチほどで上部岩壁である。幸いにして難しいところは中沢さんトップの順番でホッとする。セカンドでも大変だったけど。最後のトサカ状ナイフエッジは、すぐそこで稜線がおいでおいでしていたので、パスする。今日は風もなく、天気もよく、最高のコンデションでザイルをのばすことができた。いつもこんな状態で登れれば、いいんだけれど。
 行者小屋にもどり、まだ早いから当分北西稜パーティはもどってこないだろう、のんびりしよう、なんて言ってたら、三人が帰ってきた。あちらも順調に登ってきたようだ。
 テントをたたみ、美濃戸口をめざして下山。帰りは、甲州名物のほうとうを食べて、銭湯経由で東京へ。

〈コースタイム〉
2月21日 美濃戸口(8:05)→美濃戸(8:55~9:25)→行者小屋(11:35)
2月22日 行者小屋(6:20)→中山尾根取付(7:20)→稜線(10:45)→行者小屋(11:55~13:55)→美濃戸口(14:45)

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