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柳又谷カシ薙深層谷
高橋 弘道

山行日 1987年9月12日~14日
メンバー (L)高橋(弘)、金子

 6月頃から黒部の沢に行くことを予定していたが、行きたかった北又谷は日程の都合であきらめてカシ薙深層谷にする。ルート図集によると六級、3泊4日となっているが、さほどむずかしくはなく四級位だろうか、日程にしても2泊3日で十分で、下山帰京できる。
 9月11日、上野発の予定していた電車の時間にパートナーの金子さんが間に合わなかった為、見送りにきてくれた甘楽さんに魚津の駅で待っていると伝言をたのみ出発する。
 9月12日、10時頃まで魚津駅で待つが金子さんが来ないので、柳又谷で釣でもしようと出発する。宇奈月温泉でトロッコ電車の発車を待っていると、ひょっこり金子さんが現われる。あきらめていた沢登りにこれで行けると一安心する。
 黒薙駅で降り、北俣堰堤まで1時間15分位で着く。ここで腹ごしらえしていると関西電力の人が話しかけてくる。今日はすでに9人ほど柳又谷に入ったとのこと、また今日の水量は4.5トンぐらい、減水しているときは3トン位とのこと、それに降雨後の増水はたいへん早いので注意して行けと言われる。
 2時に北俣堰堤を出発、予定している広河原まで4時間と登山大系に書かれているので、広河原に着く頃には暗くなるかも知れないので急ぐことにする。
 500m位遡行すると右岸に針金がかかっている所に出合う。徒渉して右岸に渡ろうとするが、水量が多くて渡れないのでショルダーで越える。これから後、徒渉は数度するけれども問題となる所はない。
 1時間15分ほどでカシ薙深層谷出合に着く。あまりに早く着いたため、出合とは信じられず、上部の方まで偵察に行ったりする。
 9月13日、4時起床、6時に出発する。5~10mの滝が連続することとなっているが、深い釜を持った滝などほとんどなく、1時間15分位で下部ゴルジュ帯入口に着く。下部ゴルジュ帯入口にかかる10mの滝は、左岸から入る枝沢の8mの滝を登り、本流に戻り10m滝上に出る。さらに5mの滝を右側から登り、少し行くと15mの滝である。この滝を登るには水流をくぐり滝の裏に入りそこから、右側に行くと登れそうだが上部がかぶっているため、少し戻り右岸を高捲き懸垂して沢床に降りる。15mの滝上から上部ゴルジュ帯入口までは沢も開け問題となる所はなく、1時間ほどで上部ゴルジュ帯入口に着く。
 上部ゴルジュ帯入口は早い時期だと雪渓が残っているようだが、今はくずれてしまって20mの滝が現われている。ここは右側のルンゼを10mほど登り、左の岩に移って更に10mほど登り越える。さらに少し行くと10mの滝に出合う。ここは左側を登るが上部は少し滑りやすい。この後、5mほどの滝がいくつかあるがいずれも登れる。下部ゴルジュ帯の入口から1時間15分位で二俣に着く。登山大系によると沢の出合から二俣まで9時間となっており、ビバークをここで予定していたが、下部の釜が埋まってしまったためか、5時間弱で着いてしまう。1時間位昼寝をしたあと、稜線上での水のないビバークはいやなので、水の消える所まで行く事にする。12時30分水の消えた所でビバークすることにする。
 9月14日、5時起床、6時45分に出発、今日は白馬岳までの予定で出発。遡行して30分ほど行くと沢は三本に分かれるが右側の沢を登る。この上で我々は左側に寄って登ったが、ここは右側に行った方がヤブが少なくてすむ。8時15分、猫又山頂に着く。猫又山の頂上付近は広大な池塘におおわれ百花咲き乱れとあるが、今は時期が遅すぎたみたいだ。出発しようとしていたところガサガサ音がするので行ってみるとカモシカである。近づくと逃げるが50mほどはなれてこちらを見ている。エサにパンなどを置いて行こうかと思うが、もったいないので写真を撮って出発する。
 清水岳までは猛烈なヤブの中を行くが、柳又谷側を行けば少し楽に行ける。暑さにバテながらも清水岳まで2時間で着く。さらに白馬岳まで2時間ほどで行ける。予定より早く白馬岳に着いたので下山することにし、大雪渓をすべりながら15時10分猿倉に着く。
 今回、カシ薙深層谷を遡行してみて、あまりにもあっけなく終ってしまったので少しがっかりした。日程にしても初日に下部ゴルジュ帯を抜けていれば、2日目に白馬岳まで行けると思う。ただ水量が少なかったのと天気にめぐまれたせいかも知れないが。

〈コースタイム〉
9月12日 黒薙駅(12:15) → 北俣堰堤(13:30) → カシ薙深層谷出合(15:15)(泊)
9月13日 カシ薙深層谷出合発(6:00) → 下部ゴルジュ帯入口(7:15) → 15m滝上(8:10) → 上部ゴルジュ帯入口(9:30) → 二俣(10:45) → B.P(12:30)
9月14日 B.P発(6:45) → 猫又山頂上(8:15) → 清水岳山頂(10:30) → 白馬岳村営山荘(12:30) → 猿倉着(15:10)

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