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安達太良山
大久保 哲

山行日 1987年11月22日
メンバー (L)大久保、牧野、服部

 出発前に麓から見上げた安達太郎山は山の半分がガスにおおわれている。昨日ははっきりと雪のかかった山頂付近が見えていたのに沼尻温泉街をぬけ、準備がすっかりととのったスキー場のリフトを右に左に見ながら駐車場に着く。今回のコースは沼尻湯元から沼ノ平、鉄山、安達太良山頂の計画である。駐車場より登山道へ入るとすぐに左手に白糸の滝が現れた。本来ならば白糸のように真っすぐに水が落ちているのだろうが、風が強いのか滝の半分位で「し」の字のように曲がっている。尾根道をしばらく歩くと急に視界が開け眼下に元山避難小屋が見える。かすかに湯煙が上がっているので急に歩く足も速まる。湯煙は半分朽ちかけた屋根の小屋にあった。早速、ドボンといきたかったが帰りに寄ることにする。登るにしたがい風も強くなり、ガスも濃くなり視界も3mぐらいしかなくなってしまった。鉄山までは半分以上は登ってはいたが一旦元山小屋まで引き返す。小屋に着いて先ず冷えた体を湯の華たっぷりの湯で温める。小屋でゴロゴロしていると次第に青空が見え始め、山頂付近のガスもなくなったので再度山頂を目指す。黙々と登って行くと、引き返した場所もいつしか過ぎ沼ノ平に出た。何と地球とは想像しがたいような風景である。どこか惑星を思わせる様な景色である。温泉好きの我々はこの景色を見て勝手に「温泉の惑星」と名付けた。だだっ広い沼ノ平を横切り鉄山へ向かう。下から見上げた時雪に見えたのは霧氷だった。岩はだに風上に向って海老のシッポの様にびっしりとへばり付いている。ふと気付くと我々のザックにもへばり付いているのだ。これもかなり強い風のせいだ。最後の登りは周囲が真白で道標も見えないほどだったが、下から吹き上げてくる風に押し上げられるように登った。やっと鉄山の山頂付近の尾根に出る。何と反対斜面のくろがね小屋方向の谷にはまだ紅葉が色づいていた。安達太良山頂を目指すかどうか意見が分かれたが、濃いガスと強風を理由に今回は此処までということで引き返す。下山後は中ノ沢温泉の保養センターの湯ぶねにつかりのんびりとすごす。

〈コースタイム〉
駐車場(7:35) → 元山避難小屋(8:35) → 引き返し点(9:15) → 避難小屋再度出発(11:20) → 沼ノ平小屋跡(11:55) → 鉄山(12:25) → 沼ノ平小屋跡(13:3) → 元山小屋着(13:35) → 小屋発(14:15) → 駐車場(14:57)


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