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集中山行 大菩薩
その1 大菩薩嶺裂石コース
播磨 忠志

山行日 1987年9月6日
メンバー (L)播磨、田原、野田、庄野、遊佐

 9月6日、快晴、新しく橋上駅となった塩山駅での一夜が明け、前日の酒でまだボーとしている頭で起き上り外を見ると、何と幸いにも一点の雲も無い快晴の朝だ。確か昨年の集中も同じ時期で同じ様な良い天気であったので、2年連続で良い天気に恵まれた集中になった。
 裂石でタクシーを降りて、舗装された車道を登りはじめる。私が若かった昔の話であるが、夜行列車から接続のバスに乗りついで、まだ薄暗い中を懐中電灯の光を頼りに登ったものだが、今は我々の横を時折自動車が通り過ぎるくらいで登山者の一人にも出会わなかった。
 一汗かいて車道から離れて登山道へ入る所にある仙石茶屋で朝食にする。眼下に広がる甲府盆地をながめながらの食事も快適なものだ。茶屋のおばあさんが所在なげに座っているのでお茶を注文すると、近頃はめっぽう登山客が減ってしまったとのこと、特に上日川峠までの車道が開通してからは、この道を登る登山者は減る一方とのこと、こんな話をしている間にも登山者を乗せた車が橋の向こう側の車道を何台も登っていった。
 ここからは完全に山道で昔の面影がよみがえってきた。よく踏まれた道は往時の登山客のにぎわいを感じさせるが、しかし我々の前後に一人のハイカーもいないというのは、この天気の良い日曜日の朝としては珍しいことだ。
 1ピッチで上日川峠に着く。熊田君たちのパーティが前夜車で入ってテントに泊ったとのことで、朝食(何やら松茸ごはんとのこと)を作っていた。私達も滅多に口にできないご馳走なので、ごしょうばんにあずかろうと思ったが時間がかかりそうなので先へ行くことにする。この先も富士見平から勝緑荘まで車道が入っているので、タクシーを使えば峠まではほんの一投足である。
 快調に歩を進めて来た我々であるが、このあたりまで登ってくると、気のゆるみか、前夜の深酒のせいか(何をいっている、バテる程飲んでないぞ)、はたまた若いとはいえない歳のせいか、峠がすぐそこに見えているのになかなか着かない。ようやく小菅川本谷の連中に迎えられて峠に到着。ひと休みの後、最終目標地の大菩薩嶺にむかって登りはじめる。秋の花々が咲く尾根上を、まわりの展望をたのしみながらゆっくりしたペースで嶺に着いた。他のコースの連中はまだどこからも登って来ていなく、かつぎ上げた酒を飲みながら豚汁を作り、皆んなの来るのを待った。


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