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春山合宿 八方尾根・丸山集中
その3 遠見尾根PARTY
今井 敏樹

山行日 1988年5月3日~5日
メンバー (L)安田、勝部、服部、川森、市川、牧野、鈴木(章)、今村、升田、今井

 5月3日、朝大糸線神城駅下車、さわやかで澄みきった青空で実にすがすがしい朝である。これからの三日間このような天候のもとで気持ちの良い稜線歩きと、北アルプスの展望 ―特に剣立山連峰― に恵まれて、下山時には日焼けでボロボロになった顔を見て笑い合い、背中がひりひりして入浴するのが苦痛になるような気がしていた。ひたすら必要以上の日差しの強さと雪の照り返しだけに気をうばわれていた。
 テレキャビンに乗ってあっというまに遠見尾根へ、更にリフトに乗って地蔵の頭に到着。まだ晴れている。足どりも軽く、いよいよ登りはじめる。一本、二本、三本と進むうち次第に雲が多くなるが、五竜岳や鹿島槍がくっきりと美しい姿を我々の前に見せている。けっこう順調に行動しているので当初1日目の幕場であった西遠見を見送り白岳まで行くことにする。頂上直下の広い雪田を登り切ると白岳だ。この付近はスキーで滑ったらけっこう面白そうな斜面である。白岳の幕場では皆が協力して雪を整理し、その上にテントを2張り、張った。天気は次第に悪くなる。後から鹿島槍より小泉パーティが到着、更に単独で小林もみぢさんが我々と同じルートを登ってきて合流した。その夜は小林さんの話でもりあがった。
 5月4日、朝から雨模様である。低気圧の影響とのことなのでしばらく停滞することにする。ただ小林さんが今日帰るとのことなので早く行きたそうであった。結局8時にテントは張ったままで五竜山荘を出発する。ガスと雨の中をカッパを着て登る。ただ身軽なのが唯一の救いか。約1時間後、五竜岳頂上に到着。何も見えないし寒いのですぐに下山する。下りでは頂上直下でザイルを出したので登りと同じくらい時間がかかった。雪が柔らかかったのでさほどには感じなかったが、クラストしたらけっこうシビアなコースだとは感じる。幕場でお茶を飲んだり行動食を食べたりした後、テントを撤収し唐松岳へ向けて出発した。雨もやや小降りとなって次第に弱くなったので、この調子で今日一杯いくものと思われた。唐松へはけっこうアップダウンや岩場があり、思ったより難コースであった。しかも時間がけっこうかかった。ようやく唐松山荘に着いた時には15時30分を過ぎていた。唐松岳ピストンはあきらめ、八方尾根を下る。丸山では先行パーティや八方尾根のみのパーティが出迎えてくれ、やっと着いたという安心感に浸った。しかし、災難はここから始まったのである。テントを張っている途中、いきなり突風が吹きはじめる。なかなか張れない。我々だけのパーティでは無理なので先着パーティの人にも手伝ってもらって何とかテントは張れたが、張り綱が固定できない。大きな石を見つけてどうにかこうにか、固定してもすぐに飛ばされてしまう。いったんはテントの中に入ったもののだめなので数回にわたり固定を試みたがもとのもくあみである。そのうちフライシートが一部飛ばされてしまい、激しくテントに張り綱ごとムチのようにたたきつけられる。痛い痛い。これは暴風雨(ミゾレ)が通りすぎるのを待つしかない。とにかくテントが飛ばされなくてよかった。でも体はグチョグチョ手足は氷のように動かない。ホエーブスをつけてあたたまるしかない。でもあまりあたたまらなかった。嵐が去るまではかなりの時間が経過し、やっと嵐が去った。やっと夕めしが食えるのである。とにかく無事でよかった。
 最終日、少々寒いが昨日の事がうそのようないい天気だ。のんびりと八方尾根を下る。白馬駅までずーっといい天気。おかげで山で焼けなかった分、焼けてしまいそうだ。うらめしく天気を思いながら何とか終った大合宿であった。ちなみにフライシートは二つは壊滅し、あとは全部修理に出しました。

〈コースタイム〉
5月3日 神城駅(7:35) → テレキャビン乗り場(8:00) → 地蔵の頭リフト終点発(9:03) → 一本目(9:50~10:00) → 二本目(11:00~11:20) → 三本目(12:15~12:35) → 四本目(13:15~13:33) → 五竜山荘着(14:15)
5月4日 五竜山荘発(8:00) → 五竜岳(9:00) → 五竜山荘(10:15~11:55) → 一本目(13:05~13:20) → 二本目(14:10~14:20) → 三本目(15:15~15:25) → 唐松山荘(15:40) → 丸山B.C着(16:20)
5月5日 丸山B.C発(7:35) → 一本目(スキー場上部)(8:45~9:05) → 兎平(9:30) → 下のゴンドラ駅着(10:05)

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