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笹子雁ヶ腹摺山
大久保 哲

山行日 1988年11月20日
メンバー (L)大久保、石田、阿部、服部、(安保)、他1名

 中央本線沿線の山は、多忙な山屋には気軽に行ける山々が多い。土曜日の夜、決って新宿駅5番線ホーム、21時5分発の列車に乗り目的地に向かう。車中でチビチビやりながらひと時を過ごす。駅へ着けば水道、トイレ付、無人、無料の簡易宿泊場でワイワイと各自持参のつまみの交換会を開き、それに飽きるとシュラフを広げてもぐり込む。翌朝は時間など気にせずブラブラと目的地へ出発する、何とも気楽に山へ行ける所がいい。
 そんなことで今回は"笹子雁ヶ腹摺山"という名前からして長ったらしく、山頂では雁の渡りをながめながら、団子でも食えそうな山へと向かう。先ずは笹子駅より大鹿峠へと歩き出す。中央高速道を横切り、大鹿沢に沿った林道を1時間ほど進むと車道もここで終り。直進、大鹿峠。右、滝子山の道標もある。ここから先はイラ沢に沿って右へ左へと渡渉しながら進むと間もなく、沢とも別れ右岸へ折れた登山道が続く。ほとんど木々から落ちてしまった落葉に足を取られながら急坂を登っていくと、日陰にはうっすらと白く雪が残っている。今シーズン初めて見る雪だ。大鹿峠付近ではあたり一面真白になっていた。峠からお坊山へ向かうが登山道が日に当たらないため靴も汚れずに歩ける。お坊山はその山頂では気付かないが、米沢山へ向かう途中振り返ると、ちょうど坊主の頭が二つ並んだ様に見える。ハハーン、なるほどとなどと感心しながら進む。米沢山頂からは目指す笹子雁ヶ腹摺山はすぐ眼前に見えた。小休止の後、少々腹もすいてきたが最終目的地でということにし出発する。しかしここから先が大変だった。近くに見えても何とかで、急な下りのクサリ場が続く。標高は米沢山頂(1357m)と雁ヶ腹摺山頂(1357.5m)とほとんど変らないが、それまでの貯金をこの下りでいっきに吐き出す。最後の登りに入ると、夏場だったらけっこういやらしいヤブが続く。グーグー鳴り出した腹をおさえながら進むと登りも弱くなりやがて、360度の展望が広がる山頂へ着いた。"展望の山旅"のコピーを手にそれぞれ展望を楽しんだ後、1時間ほどかけてゆっくり昼食をたべた。今回は入会希望者1名が参加しているので昨夜から、各自持参の"自慢の?"酒や食べ物をどんどん勧めている。これでは断れないのではないかと思う程である。
 下山は尾根伝いの最短コースで20号国道へドドドッと下る。途中、300円也の笹子鉱泉につかり、帰りの車中でグビグビやりながら帰途に着く。

〈コースタイム〉
笹子駅発(7:10) → 車道終点(8:15) → 大鹿峠(9:20) → お坊山(10:5) → 米沢山(10:55) → 笹子雁ヶ腹摺山(12:00~13:15) → 中央道(14:6)


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