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日光手分け分散攻撃(GOGO山行)
その1 赤薙・女峰・小真名子・大真名子
荒川 洋児

山行日 1988年10月14日~15日
メンバー (L)荒川、勝部、井上

 14日夜、JRの日光駅で寝ていると、駅員さんが「誰の許しをもらって寝ているんですか起きて下さい」とやってきた。「他の駅なら寝させてくれる」だの「駅で寝るなんて普通じゃないでしょう」だのと、しばらく言いあっていたが、じきに行ってしまった。
 建前上、駅で寝るなんてことは許可できないので、文句は言ったんだというジェスチャーのために来たんだろうとのこと。
 15日の朝、タクシーで霧降高原まで行き、そこから歩き出す。最初は勝部氏にそそのかされて、女峰山から大真名子を越えて志津小屋まで10時間位を1日で行くつもりだったが、女峰山まで行った時にはもう疲れてしまい、小真名子の手前の富士見峠で泊まることにして、女峰の頂上で1時間ほど昼寝をたのしんだ。
 晴れてはいたが風が冷たくて、日がかげってきた時に寒くて目が覚めてしまった。ふと横を見ると、いつのまにか勝部氏がちゃっかりシュラフに入って熟睡態勢にはいっていた。
 14時前に富士見峠に着いて、水をさがしに林道を下ったがあいにく見つからない。しかたないので工事現場の事務所で少しわけてもらった。正確には、勝手に事務所の中のポリタンから水を汲んでいるところに、あやしげな連中がうろついていると思ったのか作業員が様子を見に戻ってきたので、あわてて「すみませーん、水を少しわけて頂けませんか」と、事後承諾になったのだが。
 テントに戻って、まず焚火をしながら酒を飲む。ベテランのK氏はこういうこと(焚火とのむこと)にかけてはたよりになる。いやもちろん、たよりになるのはこれだけではないが。「誰に許しをもらって焚火をしているんですか、消して下さい」なんて誰か言ってくるんじゃないかと恐れていたが、幸い登山者が一人きただけだった。
 いいかげん飲んで寒くなったところでテントに入って食事にする。この日は別当氏が不調で参加できなかったせいもあってか、質量ともになかなか豪勢な食事で、食べきれない分は翌朝にまわす。おかげで翌朝に食べるはずだったラーメンがなくならないので、荷物が軽くなってくれないという重大な(少なくとも私にとっては)問題が発生した。
 16日、一部のメンバーには男体山まで行こうという意見もあったが、小真名子、大真名子の登りであっさり消えた。「確か男体山に行くパーティもあったろ」という次第である。富士見峠から小真名子の登りは、我々の鋼鉄の意思でさえも焼戻しを入れてなまらせてしまうほどの、過酷なものなのである。
 志津からは長ーい林道歩きで三本松へ。バス停のすぐ近くまできて、親子連れらしい三頭の鹿さんを見た。茂みがガサガサ鳴ったと思うと、突然道路に現れてあれよあれよという間にまた茂みの中に飛び込んで行った。
 バス停でビールとラーメンを食べてからバスに乗ったが混んでいて、駅まで2時間40分かかった。志津から、いろは坂の下まで直接出たほうが結果的に早かったかも知れない。


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