GOGO山行全55座完登!おつかれさまでした、と気分良く言えるというのは嬉しいものです。その頂上を踏んだ人数、数えてみたら、延べにして、ナント、約280名!まさに、みんなで登った55座でした。このみんなの足でつないでできた関東を囲む山の輪は文字通り、山で結ばれた三峰の輪です。この輪に今年もまた新しい仲間が加わって、新たな話(ストーリー)が発展して・・・和が増すというのは、正にこういうことなのでしょうね。そして今年は環(リング)の数も多い年でした。
嬉しい事が多かった今年も、しかし一方では、時代のくぎりが刻印された年でもありました。裕仁天皇の崩御で、激動の昭和史に一応の終止符が打たれました。三峰では、小林安幸さんが昨年12月に亡くなられました。小林さんは会が創設されて間もなく入会され、長く役員をされてご活躍された方です。戦前から戦後の復興期、そして現在の繁栄の時代まで、三峰と共に昭和の時代を歩んでこられました。心より、ご冥福をお祈りいたします。そして、その小林さんの良き岳友であり、やはり会の創設直後から今日まで現役で山を歩いてこられた野口孝司さんが退会なさいました。野口さんは、これまで長年に亘り、岩つばめのガリ切り・印刷・製本の仕事を一手に引き受けて、縁の下の力持ちとして会に尽くしてくださっておりました。本当に、御苦労様、どうもありがとうございました。今、こうして時代の節目に、お二人の大先輩の名前が会の名簿から消えると、お二人の山歴がそのまま、昭和の時代に半世紀を超える足跡を残した三峰の歴史と重なり、一抹の寂しさと共に、ひとしお時代のくぎりが実感されてまいります。多くの思い出の残る三峰を退かれる野口さんの心中は嘸かしと、思わずにはおられません。
しかし、如何に時が移ろうとも、先輩方が創ってくださった伝統は残ります。昭和8年10月の創設以来50有5年、昭和の山々を登り続けて来た三峰は、先輩方から受けついだ伝統の名と生涯登山の精神を次の世代に伝えつつ、新たな時代も着実にその歩みを進めて行くことでしょう、山を愛し、山に憩う仲間がいる限り。そのことを、時代の節目にGOGO山行というかたちで確認できたことは、意義深いものがありました。
この岩つばめを、小林安幸さんの霊に捧げたいと思います。