山行日 1989年5月27日~28日
メンバー (L)日野、田原、藤居、斎藤
ここのところもう梅雨かと思わせるような雨の毎日が続いていたけど、日頃の心掛けが良いせいか(?)久々の晴天となった。修善寺駅前は何もない普通の町で、(今や世界進出のヤオハンがある程度)有名な独鈷の湯はバスで7分の温泉町の中にあった。初日は修善寺の街を散歩して宿をとった湯が島の民宿「しきや」さんヘ向かう。温泉につかり、御馳走を食べて、ぜいたくな一日だった。
翌朝、宿の横を流れる川では、今日がアユの解禁日とあって、釣り人がもう釣り糸を垂れていた。旧天城トンネルは、快晴でも山々の樹々に覆われてひんやりと静かだ。トンネルからはゆるやかな登りで天城峠へ着く。繁みの中で峠とは思えないような峠である。八丁池までの道は、朝ということもあって透けるような緑にむかえられ軽やかな道である。八丁池でひと休み。池は日曜日だというのに行楽の家族連れもなくシンと静まりかえっていた。ひとり、きのこの下見に来てるという地元のおじさんと途中まで同行する。何と今頃の時期でも採れるそうな。おじさんは道からそれてやぶの中ヘ入っていった。とりあえず目指す小岳まで白田峠・戸塚峠と二つの峠を越え、やっとお昼にありつける。ここでは遠足といった感じの子供達も来ていて、何やら石器時代にはやじりにされたという黒曜石をさがしっこしていた。さて、こんなに虫がいるとは思わなんだで、その虫をはらいのけつつの小岳昼食会を済ませ次なる目的地、オーイ万三郎ーっとは叫ばなかったけども天城主峰の万三郎岳へと足を進める。 1405.6mの山頂は低いとは言えども木で囲まれていて山頂らしくない所で特に見晴らしが良くもなく、標高を表す標識がなかったら、山のてっぺんとは思えない所だった。
名前からすると弟に背を抜かれてしまったかな?の万二郎(標高1,300m)への道の途中、北側の斜面に自生するシャクナゲが赤や淡いピンクの花を咲かせていた。例年なら今ごろが見頃ということだが、今年は暖かいため、もうそろそろ終りぎみの様子。けど、緑に映えて美しいシャクナゲだった。このあたり万三郎と万二郎の間を「石楠立(はなたて)」というのもこのシャクナゲから来てるそうな。(はずかしながら石楠花と書いてシャクナゲと読むということを知る。)途中、馬酔木のトンネルが続く。確か小さい白い花をたくさんつける木と思ったけど、花が咲いてたら本当に素敵なトンネルだろうなと想像しつつ通りぬける。万二郎の頂上も万三郎と同様の山頂だが、途中数ヶ所見晴らしの良い所があった。あいにく雲が湧いてたけど、それもまた趣きがあり良い良い。万二郎からは急な道を下って、ゴルフ場へと辿り着いた。
天城の山はブナやヒメシャラ(この木は茶色のぺンキをぬったような木で愛嬌がある)の原生林、シャクナゲやツツジの鮮やかな花々、唄を練習するウグイスやたくさんの鳥のさえずり、そして海から山肌を吹きぬけるゆったりした風に囲まれて生き生きとしていた。温泉良し、食べもの良しの静かな山行であった。
〈コース〉
旧天城トンネル → 天城峠 → 八丁池 → 小岳 → 万三郎 → 万二郎 → 天城高原ゴルフ場