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恋ノ岐川から平ヶ岳
菅原 康之

山行日 1989年8月4日~6日
メンバー (L)菅原、金子、今井、井上(雅)、荒川、牧野、阿部、斎藤

 前々から、平ヶ岳へ行きたいと思っていたので、会社の夏休みを利用して、恋ノ岐川からつき上げる計画を立てた。
 8月3日の夜、新宿にて集合、関越道を小出インターまで行き、そこから国道352号線で恋ノ岐橋まで行く。恋ノ岐橋には夜遅くに到着したので、早々に寝た。
 8月4日は晴れでまずまずの沢登り日和である。恋ノ岐橋のたもとより沢におり、いよいよ2泊3日の山行の始まり始まりです。
 赤茶けた川原の中をゆっくりと進むと、大きな釜をもった小滝があきない程度の間隔で現われてくれる。みんな思い思いのルートでヘつったり、直登したり、また、釜に落ちたりして楽しんでる。清水沢出合をすぎると美しいナメが次から次へと現れ、途中で滑り台のようなナメで釜に滑り込む。全身ずぶぬれになるが、暑いのでとても気持ちがよい。時々3~4メートルの小滝が現われ直登とへつりを繰り返す。
 夕方近くになってオホコ沢出合に到着。川幅もかなり細くなり早急にテント場を捜すが、2張りはれる良い場所がなかなか見つからず、オホコ沢出合より15分位行った所に傾斜した地形にかろうじて張り幕営地とする。
 8月5日、まだ沢には日が当たらない内から出発である。ここから沢も右や左に屈曲し始め小ゴルジュが次から次へと現われへつりで通過して行く。太陽が当るまでは、釜には落ちたくない心境だ。次第に両岸が狭くなり腰まで入って小滝に取付いたり、くぐったりで適当に楽しいが、けっこう長い沢である。目標にしている40メ ートルのナメ滝がなかなか現われず少々不安になる。が、先にどんどん進んでゆくと、10メートルのヌルヌルした滝が現われ左から越え、太陽もかなり高くなったころ、8段に分かれて落ちる40メートルのナメ滝にたどり着く。ここが恋ノ岐のクライマックスであるが、難なく右から通過。ほとんど源頭部に近くなり、水流はいよいよ細くなる。稜線もかなり近くなる。
 ころあいを見て左の枝沢に入り、途中よりヤブになり、15分位ヤブコギ作業をすると、ポッカリと登山道に飛びだす。この時の気分は、充実感と満足感で胸がいっぱいになる。雲はあるものの、素晴らしい展望で、しばし見とれる。さわやかな風が、体を包む。
 ここに荷物をデポし、平ヶ岳までは、往復1時間30分位なのでゆっくりと足を運ぶ。山頂からのながめは一流で、至仏、燧、会津駒が一望に見え、高山植物が咲きまさに山上の楽園である。心ゆくまで散策を楽しんだのち、荷物のデポ地まで戻り、今日の幕営地に向けて下山をする。1時間位下った所で水場のある白沢清水到着。夜のふけるのも忘れて酒をくみかわし、幸せな気分でシュラフにもぐりこむ。
 6日の朝は頭がバッフンパッフンと痛む。少々飲みすぎたようだ。台風が近づいている為、天気はかんばしくない。しかし今日下山日なので気にせず台倉山の稜線を鷹ノ巣へと下る。だが最後の仕事が待っている。それは、恋ノ岐橋に置いてある車まで国道を歩かなくてはならない。私と井上(雅)氏で取りに行く事にして先に下山した。鷹ノ巣で運よく登山者の車に乗せてもらい、難なく恋ノ岐橋まで戻って車を取り、途中でみんなを乗せ、檜枝岐温泉へ直行し、無事2泊3日の山行を終えた。

〈コースタイム〉
8月4日 恋ノ岐橋(8:15) → 三角沢(13:10) → オホコ沢(16:15) → 幕場(17:00)
8月5日 幕場(6:35) → 40メートル大ナメ(11:15) → 登山道(13:10) → 平ヶ岳(14:30) → 白沢清水(16:00)
8月6日 白沢清水(6:45) → 台倉山(7:45) → 下台倉山(8:15) → 鷹ノ巣(9:50)

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