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檜洞丸集中
その1 中川川東沢本棚沢
荒川 洋児

山行日 1989年9月10日
メンバー (L)金子、今村、箭内、荒川

 9月9日 (土)
 小田急新松田駅に20時集合。タクシーで西丹沢自然教室まで入り、テントを張る。私を除いた3人で当然のように酒盛りが始まった。私は酒なんて飲めませんもの。
 シュラフカバーだけでもやけに暑い夜だった。
 10日 (日) 晴れ
 テントを撤収して、7時出発。本棚沢を横切るところまでツツジコースの登山道を歩く。
 沢に入って50分ほどは、非常に広いゴーロの河原で堰堤が嫌になるほど連続する。おまけにほとんどの堰堤にははしごが付いてなく、ガレを登ったり薮をつかんだりで越えられるが、天気が良いせいもあってとても暑い。
 七つ位の堰堤を越え、いいかげん、もうイヤ、というころになって、林道の橋をくぐる少し手前からやっと沢幅が狭まり溯行らしくなってきた。
 このあたりから12m滝までは、小さいながらも花崗岩のきれいなナメがあり、きれいなところだ。
 12m滝の下でルートを追ってみるが、なかなかにいやらしそうで、登るか高巻くか迷うところ。考え込んでいる内に釣り師がやってきて、巻き道はあそこだと教えてくれる。釣り師に教えられるというのもちょいと情けない気もするが、彼等は案外馬鹿に出来ない。
 25mの本棚は幅広いきれいなスラブ状の滝。ここも直登か高巻くか迷う。箭内さんが取り付いて少し登るが、シャワーを浴びて「冷たい、冷たい」と言いながら敗退してくる。結局、かなりいやらしそうなのとシャワーを浴びるのが嫌で高巻いてしまう。
 20m滝。落ち口の下からえぐれてというよりは崩れ落ちてハングしている。水無川本谷の大滝みたいな感じ。下で休憩しながら溯行図を見て「どこが右のチムニーやねん?」。滝の右側にはチムニーらしきものは見当たらない。左の大岩の右側(滝の左)に泥のルンゼが食い込んでいて、取り付いてみればなるほどチムニーであった。溯行図によれば「濡れているが易しい(IV-)」かなりいやらしい箇所有り。濡れた泥だらけのIV-てのは易しいんか?
 やがて水が枯れると「快適に登れる(IV+・A1)」40m涸滝。箭内さんがリードしてくれるが、落ち口の下がとってもきびしい。A1ではなくてA0だったが、岩登りならともかく沢登りでは快適を通りすぎたような登り。核心部は落ち口の少し下で、バンドにはい上がるところで、右側がかぶっていて体が振られる。この後のトラバースも高度感が有って楽しい(恐ろしい)。登り終わると皆で顔を見合わせて、「いや~快適でしたねぇ」。
 この先はしばらくガレをつめると、檜洞丸頂上直下に出た。頂上ではすでに檜洞パーティーが酒盛りをしていた。

〈コースタイム〉
西丹沢自然教室発(7:00) → ゴーラ沢出合い(7:45) → 林道の橋の下(8:45) → 20m滝下(9:45) → 40m涸滝(11:00) → 頂上(13:10)


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