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檜洞丸集中
その3 ヤタ沢
山沢 由理

山行日 1989年9月10日
メンバー (L)菅原、小林(勝)、市川、山沢

 久しぶりの沢である。例会山行も本当に久しぶり。
 前日になって参加できるルートが決まった。前の晩、どこか行けるルートはないかとあちこち電話をかけ回った。菅原さん・・・・・・どんな人だろうと思いながら、約束の場所へ行った。そしていつもの市川さんと会い、何やらお酒らしい袋を手にしている小林さんとも初対面のあいさつをかわして、夜の静かなドライブがスタートした。
 みんながみんな、それ程お互いを知っていないらしく、言葉も少く、理想的な雰囲気。いつも騒々しい中、生活している私にとって、口を休め、心を休める最高の時間だった。
 12時頃、テント場より少し手前であったが、車を降りてそこに設営した。
 翌朝7時に起き出した。「やっぱり行くのかあ」と思いながら出発。林道を歩いた時間はそれ程ではなく、まもなく沢に下りた。沢自体大きくなかったように思うが、水量が有り、流れも速かった。取り付きが難しい所は何か所か高巻いたが、それ程緊張するような場面には出会わなかったように思う。滝つぼを泳いで渡らなくて済んだのは助かった。そのかわり流れにそって登る所もいくつか有り、顔やシャツまでしぶきをあびた。まだ9月の初めというのに、日の光がとどいていないせいか、水は随分冷たく感じられた。
 去年一度だけ行った同じく丹沢の沢。臆病になったと感じながら、徹底的に高巻いた。なのに今回は、みんなが行けば行く。時間をかけてホールドを探せば上がれないことはないような気がした。不思議な事に、ホールドを探していると、かつて沢に行き初めた頃、連れて行ってくれた人が、こと細かに教えてくれたのを思いだす。草をまとめてつかむことや、石は押えるようにして力を入れることなど。体で覚えている程沢には行っていないのに・・・・・・。
 そんなことを思って溯行していく内にだいぶ上がって来たが、水量は減る様子を見せない。次第に足が上がらなくなって来、手でよっこいしょという始末。やっと尾根に出たのは、1時ごろ。みんなの待っている檜洞の頂上に着いたのは2時であった。


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