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湯檜曽川本谷
箭内 忠義
山行日 1989年8月26日~27日
メンバー (L)今井、荒川、勝部、今村、山本(信)、服部、別当、鈴木(章)、牧野、箭内

 谷川連峰をめぐる沢の中で、一度は行ってみたい沢を挙げてみろと言われたら、やはり湯檜曽川本谷だろう。
 8月25日、上野に集合。若干天候が危がまれ、不安がよぎる。新入会員の悲しさ、集まっている人の名前がよく分からない。しかし、楽しい山行になりそうなので期待に胸弾ませて土合に向け出発。
 8月26日 土合駅より、湯檜曽川右岸の新道を、すたこらさっさと武能沢の出合に向けて歩く。途中、小雨が降ってきた。林の中で一本とる。小雨は降り続いている。げんさんが焚火の準備をし始める。若干1名を除いて、今回の溯行は中止しようという暗黙の合意が漂い始める。それを打ち砕く「とりあえず魚留の滝まで行ってみよう」という今村さんの一声で、決行となる。
 武能沢の出合で装備を着け、いざ出発。
 魚留の滝を越えるとあとは、ナメ、滝、釜ゴルジュが次々と現れ、楽しませてくれる。難しい所は高巻き、釜や淵では泳ぎ、小雨の中とはいえ気分は最高。
 今回の核心部は、大滝二段40メートルの高巻き部分だった。草付きの急な斜面は足元が悪く、油断すると滑り落ちる。かなり慎重になる。そんな中、不思議なことに、勝部さんとげんさんは、「オットー」「オットー」と叫びながらどんどん草木をかきわけ先に進んでいく。あの2人は生まれる前は、きっとカモシカだった、否、猪だったに違いない。
 頭上に2本目の送電線が現れ、しばらく行くと、今までの興奮を鎮めるかのように水量が減り、小川となる。幕営地点に近づいてきた。二俣手前の草付台地がちょうどテント2張りはれるのでそこを幕場とする。
 夜は、酒盛り。これがいい。次回からは運べるだけ酒をもって行こうと決意をあらたにした。
 8月27月 天気はいまいちぱっとしない。しかし、沢をつめたあと、温泉がまっているので気分は楽だ。
 二俣にはツェルトが2張あった。それを見送り、水量が少なくなった沢をつめる。傾斜が急なのでまいるが、一歩一歩着実に高度をかせぐ。ガレとなったあたりで左岸の尾根に取り付く。笹が進路を妨げるが、ここでもげんさんはどんどん先頭を行く。やっと稜線に出、朝日岳頂上で記念撮影。
 小雨の中、宝川温泉の熊の露天風呂目指して下っていく。しかし、これが長い。かなり林道歩きにうんざりしたころ宝川温泉に到着する。リーダーの今井さん、お疲れさまでした。


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