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正月合宿・甲斐駒ヶ岳
その1 正月合宿「甲斐駒ヶ岳」総括
勝部 辰朗

 平成元年度の正月合宿は、当初南アルプスの赤石岳を予定していたが、土砂崩れにより入山に問題があるため、急遽甲斐駒ヶ岳に変更した。最近の合宿は定着方式が多かったため、縦走方式を採った。冬山縦走を経験することにより、体力、総合知識、精神力のワンステップのレベルアップを図る事を目的とした。コースは、(1)御座石鉱泉~早川尾根~甲斐駒のコースを主力隊に、(2)日向山~日向八丁尾根~甲斐駒ヶ岳の遊撃隊、(3)ナメ滝沢、黄蓮谷のアイスクライミングのバリエーション隊と3コースによる集中登山型式とし、順調に行った場合各隊共仙丈ヶ岳も登頂するという型とした。
 結果としては、各隊共予備日を各々の事情により使ってしまい、仙丈ヶ岳へは登れなかったけれど、内容的には充実したものであった。特に早川尾根隊は、予想に反して入山隊が他に居なかったため、終始ラッセルで自力によるトレース作りと、新人を多数含んだ大部隊の行動で、リーダーの服部氏は大変であった事と推察します。ごくろうさまでした。
 早川尾根隊と八丁尾根隊は2日に会って、3日合同で下山した。ナメ滝沢隊とは、2日の朝9時15分の交信を最後に連絡がとれなくなったが、それまでの交信で、3日の朝丹渓山荘にて合流する予定としていた。しかし、3日9時15分丹渓山荘では合流できず、交信を続けながら先に2隊は下山する事とした。戸台のバス停に着いた時点でも交信がとれず不安が増して来た。東京に連絡をして、情報収集をしている中で、「2日の朝ナメ滝沢出合を出たとしたら、3日に下山するのは不可能では?」との事で、恐らく1日遅れて下山する可能性が強いと判断し、2隊は先に帰京した。但し、遭難の可能性も僅かではあるが、有り得るので、念のため帰りの列車内にて連絡綱を作成し、4日の午後1時迄に下山確認がとれなければ、招集をかけ夜7時頃には捜索に出発することとし、停車ごとに東京の連絡事務所にした安田宅に連絡をして、情報収集と各種依頼事をしながら帰京した。この際、白馬事件の捜索隊の指揮をとった佐藤明氏が居てくれ、適切なアドバイスをしてくれて大変助かったし、心強くもあった。結果としては、私が自宅に着いた夜10時頃に下山確認があったため、連絡網を使って、非常事態の解除の通告をして、一件落着となった。
 今回の交信方法は、アマチュア無線を使用したため従来のシーバーの事を考えると交信状況は格段とよい。これからの人達は、アマチュア無線の免許を取得して戴き、活用するように希望します。
 今合宿で、一つ階段を上がりましたので、来年度も一段の高みを目指して皆さんガンバリましょう。


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