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黒部丸山東壁登研ルート
山本信雄

山行日 1989年12月2日~3日
メンバー 山本(信)、長谷川守(信濃登高会わたすげ)

 12月2日 天気・快晴
 大町の駅を降りると山屋は誰もいない。長谷川の車で扇沢へ向かう。料金所から少し行ったところでゲートがあり、車はここまで。しかしゲートまで行ってみると、ゲートの鍵がかかっていないので扇沢まで入ってしまった。扇沢で車を捨てて長いトンネルを1時間40分歩き黒部です。
 10時冬季用のドアを開けて見ると、空は雲ひとつなく晴れている。そしておまけにトレースがついている。1日に入ったJCCパーティはラッセルに苦しみ、夜7時に丸山に着いたそうです。我々はラッセル泥棒で2時間半で丸山。これがラッセル泥棒かもしれない。
 丸山東壁に着き、早速10月にデポしておいたテント・登攀具を堀り出し、テントを張る。1時30分登攀開始。3ピッチ登りザイルをフィックス。
 2日 天気・晴れ
 昨日フィックスしたザイルにユマールをかけ、2ピッチユマリングで登る。3ピッチ目は安心して登ったはずの氷が落ちていくのです。あと2メートルのところにビレーポイントが見えているのに、草付きに登ったが草ごと足元が落ちて行くのではないか、ああ、と思いながら岩にしがみついているのだがだめだ。けど60センチほど落ちたところにボルトがあり、アイゼンの前歯がボルトのリングに引っ掛かり止まった。
 4ピッチ目は岩が崩壊しておりクラックが無くなっているので、10月に打っておいた4本のボルトが役に立ったのです。
 12時30分、島テラスで大休止したのち、5ピッチ目のクラックをAlで登り20メートルまでザイルを伸ばしたが、小さなハングを乗っ越すには這い松にアブミを掛けて登らなければならず、かなりの恐さにボルト1本、アングル1本を打ち足し登った。
 6ピッチ目はA2のハングを乗っ越しビレーポイントに着いたのだが、水が流れている。7ピッチ目は雪解け水が流れており、二人で顔を見合わせ、どうしますか、辞めましょう、の一言で敗退。でも、お互い目からも水が流れていた。
 6ピッチまで登りあと1ピッチを登れば冬期二登の記録が待っていたのに、残念で仕方がない。


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