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富士山雪上訓練
勝部 辰朗
山行日1989年12月9日~10日
メンバー(L)山本(信)、勝部、荒川、井上(雅)、阿部、飯塚、斎藤
後発隊 菅原、大泉、鈴木(章)

 雪上訓練は本年度3度目である。1度目は5月合宿前に谷川岳で、雪上歩行、滑落停止、ザイルワークを主目的として行なった。今回は、冬山合宿を目指して、冬山装備一式を担いで登る事、個人装備のチェック、耐風耐寒訓練を主目的として、また雪上歩行アイゼンワーク、滑落停止、雪上に於ける確保技術の総仕上げをすべくカリキュラムを企画部長の金子氏に作成して貰い富士山にて行なった。
 12月9日朝、富士吉田駅での仮眠より目覚め、タクシーで峰の茶屋まで行く。そこからひたすら五合目の佐藤小屋を目指して登る。11時半頃、佐藤小屋に到着。幕を張って直ぐ訓練に入るべく雪を求めて七合目の上まで登って行った。適当な斜面を選び、講師山本信雄氏による厳しい訓練が始まった。雪上アイゼン歩行→耐風姿勢→滑落停止→スタカットクライミング→コンテニュアスタライミング→埋没者の捜索の仕方と講義は進められた。訓練の途中で、アイゼンが不調の人が出た。やはり本番前のこのような場に参加した事で装備のチェックが出来た訳で、そう言う意味でも冬山合宿に入る人は全て参加すべきであると思う。また、今回参加して載いた人は充分に自信がついたと思うし、自信を持って山へ行って良いと思います。
 こういった訓練に一回参加しただけで、体力や技術が直ぐ身に付くものではない。しかし、「私は冬山装備一式を背負って一日であの高度差を登りつめたんだ。あの寒さと風に耐えて帰って来たのだ」という自信はつくものだと思います。そしてこの自信が体の中で寝ていた力と技術を増幅させる原動力となり、より積極的に山へ立ち向かえるようになり、楽しく素晴らしい山行が開けてくるという良いサイクルが生まれるのだと思います。今回の富士山の雪訓が、参加した人たちの良いサイクルの始まりとなるのであれば、私もまた講師山本も企画金子も大変うれしく思うのであります。
 翌日は富士山頂へ後発隊と合流してアタックをする。その時のお話しはまた別の人にしてもらいとうございます。それではまた。


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