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長須ヶ玉山
勝部 辰朗

山行日 1990年6月9日~10日
メンバー (L)勝部、小林(勝)、阿部、吉田

 6月8日、お茶の水のローズウッド前に、PM9時集合。小林(勝)さんの車でいざ会津へ。この夜は、鬼怒川公園駅の待合室を宿とした。
 翌9日、6時頃会津西街道を桧枝岐へ向けて走る。桧枝岐の村から左折し、橋を渡り舟岐川林道に入る。橋を渡った所に桧枝岐の公衆浴場がある。(大入500円) 林道を進み建物が何軒かあり、その先で道は大きく左折する。曲り角に小橋があり沢が流れている。これが左惣沢である。
 車を停め8時15分出発する。天気は曇り時々小雨。左惣沢の出合には造林小屋があり、その先沢沿いに山菜取りの道が続いている。1400m地点位まで割と明瞭な道があった。いら草取りのおっさんが一人居た。地元ではこのチクチクする草をミソ汁に入れたり、一夜漬けにして食べるそうで、ここらでは山菜の王様だ、とこのおっさんは言っていた。我々は沢の本流を忠実に詰めて行った。悪場は無く、沢にも雪は残っていなかった。水流が消える辺りで振り返ると、雪を残した会津駒がチラリと見えた。水流が消えて間もなく、1714コブの西の鞍部にとび出した。ネマガリタケのヤブをガサガサと分け進む。雪はチラホラ残っている程度でヤブを押える程残っていてはくれなかった。
 1714m地点を過ぎると、後はひたすら長須ヶ玉山を目指して急登のヤブを登る。吉田のおばあちゃまも(おっと失礼)おばさまもヤブをものともせず、いいペースで登って来る。
 ピークは平担で広く、雪が残っていて幕場にはこと欠かない。木立ちが有り展望はまるでない。三角点や標識を探すが、広くてなかなか見当らなかったが、少し小高い丘の上へもしやと思い上ってみたら、あった! 三角点の柱石と明大ワンゲルの残した長須ヶ玉山の標識。記念写真を撮って、南へ方向を変えて出発。途中6センチ 位の小さな水芭蕉がネマガリタケの侵出にめげず、けなげにヤブの中で群生していた。踏まないよう気を付けてヤブをこいで行った。あすの焼沢の下降点を確認して、樹林の原に雪を慣らして快適な幕場を造りゴージャスな晩餐を開いた。
 翌10日、天気晴。下降地点からは地図上に記された沼は樹林に隠れて見えない。急なヤブを後ろ向きでネマガリをつかみ下降して行った。緑のジュウタンを敷きつめた中に赤いツツジのデザイン。すばらしい景色だ。平担な所まで下ると樹林に閉鎖された沼に出た。静かな実に神秘的な沼である。しばし憩う。
 この沼より小川が発し焼沢へとなって行く。小川沿いに下り、途中伏流帯となるも間もなく流れが染み出してくる。沢は悪場も大きな滝もない。最後の方で5m位の滝が現われ、左岸を巻いて下りると堰堤が見える。右岸を越してフィックスロープ伝いに下ると、また堰堤があるが、この間右岸に道があり林道に出る。出た辺りの道沿いの木はタラの木ばかり。タラの芽を摘み摘み林道を下り、車の所まで戻った。
 帰りは湯の花温泉の共同浴場で汗を流した。

〈コースタイム〉
9日 左惣沢出合(8:15) → 1660m鞍部(11:40) → 長須ヶ玉山(14:10) → 幕場(15:00)
10日 幕場(6:00) → 沼(6:50) → 焼沢出合(9:30) → 左惣沢出合(10:30)

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