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両神山・金山沢右俣
吉田 京子
山行日 1990年6月17日
メンバー (L)菅原、鈴木(章)、別所、井上(博)、大泉、吉田、小川、今村、飯島、牧野、(小西、冨澤)
別働隊 伊藤、江村(皦)、川田

 小鳥の鳴き声に目を覚まし渓谷を眺めたくてテントを抜け出す。遠く深い渓谷を眺める。何年か前、両神山に登山した折、八丁尾根と中津渓谷に心をひかれながら下山した。今回は、其の両方とプラス沢なので待ち望んで参加した。
 であるが、21時新宿駅前を自動車に便乗させていただき町の明かりを見ている内に、いつもの事ながら睡魔におそわれ、急角度に蛇行する中津川は、頭が車窓にゴツンゴツンと当って、重い瞼を明け暗い車窓を眺めセッカイの採堀らしき灰色の鉄骨や建物が目に入ると、ああこの渓谷もか! と思いながら眠る。残念無念ながら眠っている間に落合橋に着き、シュラフにもぐり込んだのだ・・・・・・。
 今朝は天気も上々、ワラジをはき、前回の長須ヶ玉山の花を想い出しながら、今回はどんな花に出合うかと楽しみながら、菅原リーダの後から濡れないよう滑らないようにと、ジャボジャボと渡り歩く。難しい所は無いが一枚岩に青ゴケが付き滑りやすくいやらしい所が一ヶ所、そこを越えると水源も終り、深い樹林帯のかすかな踏跡らしき急坂を登っていて、アレ! と足もとの葉に目を止める。「ショウマだ」! 目を見据えて廻りを見ると、静かに寄りそうように小さな谷間を埋めるショウマの群生、おもわず歓声をあげる。感激でいっぱい。
 尾根に出ると太陽の日は強い。狭い岩の山頂。遠く山並の眺はすばらしく又、間近のけずられて平になった叶山のいたましい姿を見る。
 昼食後、いよいよ八丁峠に向かう。細い岩稜の尾根で、クサリ場のアップダウンが続き、足もとはもろく小石がザラザラと落ちる。樹木はカエデとツツジがほとんどで、秋の眺はきっとすばらしい事でしょう。谷間を眺めながら八丁峠に着く。ここからは歩きやすい下りで、天丸山を垣間見ながら下山。
 落合橋からの帰路は、八丁随道を越え、深緑の渓谷を首が回るぎりぎりまで回して眺め、志賀坂トンネルを左に見て通過。二子山の岸壁を左に見て通過。西武秩父駅にてみんなでそばを食べて、それぞれ分散し車に乗り一路東京へ。運転ありがとうございました。私にとって有意義な山行でありました。


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