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焼額山から毛無山スキーツアー
菅原 康之

山行日 1990年3月3日~4日
メンバー (L)菅原、井上(博)、鈴木(章)、飯島

 3月2日 雨
 電車で行く山スキーはしんどいなあと思いつつ、待合せの上野駅に集合する。スキー客で賑わうホームにて難なく井上(博)さん、章子さんを見つけ予定の列車に乗りこみ一路長野駅に向かった。
 3月3日 晴れのちくもり
 早朝長野駅に着き、仕事の関係で先に着いていた飯島氏を見つけ、長野電鉄入□まで行ったらシャッターが閉じていたのでJR長野駅待合室にて仮眠とる。1時間30分位してから長野電鉄の一番電車に乗り湯田中駅で下車、続いてバスを奥志賀スキー場まで乗り、焼額山ゴンドラ前にて降り、ここで高速ゴンドラを利用して山頂近くまで運んでもらう。ゴンドラ終点駅で身仕度をしていると、スキーパトロールがいろいろと尋ねるので、計画書を渡して早々に出発する。少々ゲレンデを歩き、途中で高度計をセットしてから地図を確認し、ゲレンデをはなれて樹林帯へと入っていく。すると簡単に焼額山頂に着いた。ここは広々とした雪原で、とても気持ちのよい所である。またゲレンデの喧騒も聞こえず、天気は上々だしこれから先、素晴しいスキーツアーが待っているのではないかと思った。山頂からは、針葉樹林の間を少々重たいザックの為ゆっくりと下り、途中から広くなった斜面を快適に滑る。
 竜王山東ノ肩から方向を北へ変えて樹林の中を滑る。途中奥志賀~野沢の標識が目に付くがすぐ見失い、地図と高度計を頼りにコンパスの針がさす方向へとスキーを進めるが、読図がへたなせいか、なんとなく地図と地形がまちがっているようなので、高い位置まで戻ると、また標識がでてきたのでそれをたよりに針葉樹の間を大きくターンしながら滑る。今度はとにかく北へ北へとスキーを進め下へ向かいなるべく木々の間があいている所を滑る。低山特有の地形の複雑さの為自分達の位置を見失ないがちになる。読図を繰り返しながらなんとか目標になる林道にでた。このころから天気は変わり、雪が降り始めていた。林道を東へ向かい途中よりダマシ平へ出ようと計画して進むが、あまり視界がよくないので行き過ぎてしまい、林道から離れ剱沢ぞいの小道を上流に行きながらコンパスを見ると南へ進んでいるではないかとビックリ、目標は北なのである。とにかくこのあたりで時間を食い4時近くなっていたのでテントを立てることにし、明日の為に私と井上さんで1時間位偵察をし、章子さんの素晴らしい食事をごちそうになり今回一日が終わろうとしている。
 3月4日 雪のちくもり
 今日は小雪が降る朝で始まった。昨夜は天気が悪かったせいか、3月にしてはけっこう暑く、すんなり起きた。予定より手前で泊まってしまったので今日の行動は長い一日になると思い、ガッツを入れて出発する。
 昨日偵察をした細い沢を、スキーを担いで登る。しっかりと読図をしながらカラマツの広い尾根に出たら、昨日の標識を見つけとにかく正規のルートにでたのでホッとし、またとてもうれしかった。広い尾根は、カラマツから広葉樹の原生林となり、また我々しか歩いておらず、素晴らしく気持ちのよい所である。木がブナ林に変わるあたりから下りになりカヤノ平に向かってみなさん思い思いのシュプールを刻んでいた。
 カヤノ平は牧場なので今は広い雪原となっており、時おり見せる太陽がまぶしく反射する。ここでシールを付け小屋の裏手よりゆるやかな尾根を登る。尾根どうしに行くのが夏道だが、雪山はどこでも進めるしまた、我々はスキーもはいているのでなんのためらいもなく尾根をはずれ、湿原を横切って最短コースを選んだ。しかしまた尾根に上がるのがシンドイのだ。地図と高度計、コンパスそして標識を頼りに白樺やブナ、カラマツと変わりゆく峰々を越えてゆく爽快感は、口ではいい表わせない。途中私のシールがはずれ、みなさんの機転で応急修理をして、最後の急坂青木の坂に挑む。ピークに立つとガスの中にチラッと毛無山の鉄塔が見え、もうわずかだなあと思い疲れた体にムチを打つ。一面にガスがかかりルート捜しに苦労する。とにかく尾根どうしに進み、時たま聞こえるゲレンデからのスピーカー音に耳を傾ける。小さなピークを二つ三つ越えると、見覚えのある鉄塔が現われやっと毛無山の山頂に立つことができた。うれしさがこみあげて、一同熱い握手をし感激に浸った。山頂でシールを外し、野沢温泉めがけ長いゲレンデを一同快適に飛ばす。
 今回は日本の低山特有の地形で苦労したが、その反面スキーツアーを十分楽しむ価値ある山行で、またメンバーにも恵まれ、本当に皆さんありがとうございました。

〈コースタイム〉
3月3日 晴れのち曇り
焼額山ゴンドラ(8:30) → 焼額山(9:30) → 竜王東ノ肩(10:40) → 林道(14:00) → 剱沢にて(16:00)
3月4日 雪のち曇り
剱沢にて(6:20) → 1600m(8:00) → カヤノ平(9:00) → 大次郎山西のピーク(12:00) → 青木ノ坂(14:30) → 毛無山(15:20) → 野沢温泉(16:40)

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