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真夏の飯豊山縦走
飯塚 陽子

山行日 1990年7月28日~30日
メンバー (L)山本(信)、服部、斉藤、飯塚

 7月28日、夜行バス、米坂線そして路線バスを乗り継いで、やっと登山口の飯豊山荘に到着。ここで朝食を摂っているうちに、真青な空から輝くばかりの太陽が照りつけて早くも真夏の縦走の雰囲気を漂わせてくれる。けれども、これから始まる梶川尾根の登りは、そんな雰囲気を味わうどころか、予想以上に厳しく辛いそして、とにかく暑い道のりだったのである。
 しょっぱなから急登急登で、登り始めて20分位で4人共、ほとばしる汗をかいてしまった。たった20分でこんな調子では、この先どうなるのかな!?と超不安になるし、とにかく「暑いっ暑すぎるぅ~」と皆、誰に言うともなく口々に言いながら(叫びながら)登っていった。それでもなんとか唯一の水場"五郎清水"に着き、そこで水を浴びる様に飲んだのである。その水のなんと美味しかったこと!! こんな美味しい水は生まれて初めてという位、冷たくてほんのり甘くて本当に美味しかった。皆、「うまいっうますぎるぅ~」と、口々に言いながら飲んだのでした。この水のお陰で生き返った心地で再び登り始め、なにはともあれ扇ノ地紙へ辿り着き、やっと稜線に出られたのである。そこは、青い空に、色鮮やかな緑の絨毯を敷きつめた山々が連なり、その上には、色とりどりのお花畑が広がり、まるで別世界だった。東北の山々はなだらかで、なんとなくのどかな感じだ。この日は門内小屋で慕営する。ここからは日本海に浮かぶ佐渡ヶ島が望め、山のてっぺんから見た海に沈む夕日は、感動感動のドラマチックな光景だった。
 7月29日、門内小屋出発。今日もピーカン、太陽が眩しい中を進んで行く。そして本日も水場(ここは御手洗の池の手前の融雪水)で一本いれる。カルピスかき氷などを作りまたまた「うますぎる~」と感激も新たに食べたのでした。(しかし若干1名は、「ちょっとだけだから・・・」などと言い訳をして水割りを飲んでいた。)御西岳から飯豊山への道は、今回の縦走コースの中でも最もお花の多いなだらかな道のりだ。チングルマ、コバイケイノウ、ミヤマキンバイ・・・等、覚えきれない程のみごとな大群落や大雪渓に出会い、これらに目を奪われながらとにかく進んでいく。飯豊山神社にお参りし、切合小屋、種蒔山へと真夏の太陽に照らされて歩き続けること約11時間、へとへとになって本日の幕営地である三国小屋ヘ到着。しかしなんと、ここは幕営禁止とのこと。そんなこと地図等にも書いてないし、こんなのあり?!と納得のいかない出来事だったが、結局小屋から下った稜線に幕営することができ(勝手にしてしまった)、なんとか落ち着いたのだった。しかしこの場所は、なんとなく妙な感じで、どうしても目が冴えてしまって眠ることができなくて、(しかし一人は熟睡していた)とうとう真夜中過ぎまでしゃべり続けてしまったのである。
 7月30日、飯豊鉱泉に下山。この鉱泉は、家族風呂的でちょっと狭かった。その後、まだ時間にも余裕があったので、喜多方に立寄り、あの本場の味"喜多方ラーメン"を食べてしまったのである。450円という値段で、チャーシューやメンマ等の具が、めんが隠れる位のっていて、味もさっぱりでとっても美味かった。喜多方に行く機会がありましたら、是非試してみて下さい。という訳で、最後まで暑かった"真夏の飯豊山縦走"でした。

〈コースタイム〉
28日 飯豊山荘(9:10) → 五郎清水(13:10) → 扇ノ地紙(15:40) → 門内小屋(16:15)
29日 門内小屋(5:45) → 北股岳(6:30) → 御西岳(10:35) → 飯豊山(12:15) → 切合小屋(15:20) → 三国小屋(17:10)
30日 三国小屋(6:00) → 飯豊鉱泉(9:45)

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