トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ274号目次

安達太良山石筵沢
井上 雅春

山行日 1990年9月1日~2日
メンバー (L)菅原、服部、井上(雅)、阿部、香山

 9月1日防災の日、何の関係もなく、朝東京駅集合、今日が最後の山行となる服部氏の車に同乗5名、東北道に向けて走り出す。郡山インターで降り磐梯熱海温泉へ。とりあえず今日は先づ温泉に入る予定なので、買出しを済ませ、入浴だけできる所を尋ると、最近市営の温泉が出来たと言うので、そこへ行くことにする。聞けば、国道から見えた大きな建物がそれであった。「ユラックス」と言う名称で、最近流行の健康ランドである。さすがに公営の施設であるせいか、派手な看板等はなく、地味な色合いの建物で、いかにも役所の文化会館風なので、本当にここが温泉かと疑いたくなるが、間違いなかった。入浴料は310円、これでサウナ・露天風呂・ジェットバス有の健康ランド並の施設とは安い(ただし、食堂のビール中びん550円は合点がゆかなかった)。
 腹ごしらえをすませ、ゆっくり温泉につかると、もう今日はここでのんびりしたくなるが、やむを得ず行かねばならぬ。母成グリーンライン途中の駐車場で車を止め、歩き始める。幕営予定の「銚子の滝」迄は、観光用に道が整っているので1時間程の予定、途中分岐で道を間違えるもすぐ引き返し沢に着く。観光名所「銚子の滝」は下り返さなければならないせいか、誰も行かない。どうにか一張分の平地を探し幕を張ると、後は恒例の通り。
 翌朝慣例に従って、頭の痛さと胃のむかつきを覚えるも、朝食のスパゲティをつめ込み出発。2時間程ゴロタの中を行くと、当コース唯一の滝らしい10メートルの滝。念のためザイルを出して何なくクリア。そこからしばらくは断続的にナメが続く。所によっては200~300メートル位のナメがあって、予想外であった。この沢は両側が絶壁に近く、見通しが途中まで全くきかないが、好天気に恵まれ陽が背を照らし始めると快適この上ない。最後の二俣を左に行くと、そこからは笹ヤブが両側から覆い被さっていて、腰を屈んで歩かねばならず私には結構堪える。ヤブを抜け出て源頭付近までくると、乳首山と呼ばれる山頂の岩が見え、人がかなりいるのがわかる。源頭からの急な山肌を登りつめ稜線に出ると、視界が開け、蔵王連峰が見えたら、急に遠くまできてしまったような気がした。山頂で記念撮影をして下山路へ。和尚山迄は殆ど利用する人がいないのか、かろうじて道はあるものの草木に隠れ下が見えず、ずるずる足をとられ歩きにくい。和尚山の山頂に着く頃には、天気が急変雨が降り出す。そこからは、地元の小中学生の遠足コースになっているに違いない歩き易い道をあわてて下る。コースタイムよりかなり早く着きひと安心。素早く撤収を終え、帰りは安達太良周辺は温泉が多く、あれこれ考えたが、結局往路と同じ「ユラックス」へ。郡山への途中で、菅原氏が往きにチェックを入れてあった、喜多方ラーメンの店で、ビールを飲み当然ラーメンを食い、納得して帰路へ。ナメがとてもきれいな沢でした。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ274号目次