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救助訓練の見直しを
山本 信雄

 ルームにて机上訓練をやりましたが、あっちのテーブルでは地図を広げて見ている。またもうひとつのテーブルでは話をしている。このようなことでは誰の為にやっているのか分からない。一つのことをみんなで取り組む必要があるのではないだろうか。会員の中にはこんな話をしている人もいるようだ。
 「私はハイキングと縦走だけしかやらないから、岩登りや沢登りの救助をやってもしょうがない」
 それは大きな間違いである。日本の山では、新聞、テレビのニュースを見てもわかるように、遭難の殆んどが縦走なのです。
 私の勤務する会社は非常に労働傷害の多い所で、安全教育は常に注目されるところであるが、 ハインリッヒの1、29、300という所説が使われている。 10万件に及ぶ労働傷害を分析したところ、「一つの大きな傷害が起こる陰には軽い傷善が29件起こっており、更に傷害にならなかった傷害の要因が300回も繰り返されている」というのである。 1件の大きな傷害事故を分析・反省しても、300の要因とされる事柄を分析し反省して、作業方法の改善・道具の改良を進め、その要因を1件1件少なくしていかなければ、いつかこの「1」が発生するという。
 この所説を山登りに当てはめるならば、一人ひとりが計画や技術を考え収得し、救助訓練を分析して事故につながる「300」をより少なくしていかない限り、山の事故もなくならないのではないか。もし「1」という重大な事故が発生しても、今のままでは救助出来るだろうか。消費税は未だに見直されていないが、救助訓練はもう一度みんなで見直す必要があるのではないか。


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