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戸隠 - 高妻山
石山 千加子

山行日 1990年9月8日~9日
メンバー (L)阿部、鈴木(章)、大泉、吉田、石山

 とにかく、戸隠奥社の奥であるということで、地図を見ててもピンとこないので、9月7日の夜行に乗る。翌日タタシーを乗りついで奥社迄入ると、そのどんづまりに戸隠山の険しい岩肌がそびえているではないか。この荷物を背負って(初めての食当で重かった)あれを登るのかと思うと、少し気が遠くなる。しかし、ここで待っているわけにもゆかないので、とにかく前進。思ったとおり見たとおり手始めは、はって登る様な急登、次にクサリ場の連続、しかも霧は深く道は細い。一歩まちがえば左右絶壁。他4名は、岩慣れた人ばかりとはいえ、登るのは自分、人を頼ってはいけないと思いつつも、アッコさんには、いつもうしろから助けてもらい心強い。最後の極めつけ、ナイフ・リッジを過ぎると道はずっと楽になり、間もなく今夜の幕場となる一不動の避難小屋に着く。まだ12時頃で、行けるところ迄行ってしまおうという意見もあったが、霧は深いし時々小雨は降るし、(私はこれ以上歩けないと思うし)、お腹もヘるし、水場もあるし、条件がそろったところで、小屋にしけ込む。あとは、翌日へのエネルギーを蓄え、早めに就寝。
 翌日は快晴に恵まれ、空身で快調なスタートを切る。いよいよ目的の高妻山への登りだ。少し高みに出ると、富士、浅間、白馬から立山、槍、穂高と360度の視界が見わたせる。しかも高妻山そのものの形も美しく、ここが百名山に入れられる予定の山というのが納得できる。それにしても、昨日とはうって変ってヤブの深い上り下りの激しい道だ。目の前にあるのに、なかなか近づいてこないのだ。しかも、頂上付近の急登の長いこと。ついぐちっぽくなるが、急登を終えてさらに短い岩場を通りその先にある頂上に着いたときは、私だけでなく大泉さんもリタイヤ。しかし、リーダーの阿部さんは、もう少し先まで行けそうなフンイキ。とにかく景色もよく、天気もよく、気分の良いところなので、"頂上"の空気を充分に味わって、小屋への道を戻る。小屋で吉田さん持参のソーメンを軽く食べ、下の戸隠牧場へと下山した。この牧場も、山からおりてくるととても気分のよい所で、それぞれによく冷えたビールや牛乳を飲み、私は、う~ん、良い山行だったなどと、うなってしまうのであった。


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