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阿弥陀岳南稜
小川和良

山行日 1991年2月10日~11日
メンバー (L)山本(信)、鈴木(章)、斎藤、飯塚、小川

 私自身本格的な冬山ははじめてで、経験はといえば、富士山の雪訓に参加しただけであった。それだけに期待と不安が入り乱れていて、しかもガイドに「岩登り未経験者は危険」と書いてあったのが目についた。それでもまあゲンさんもいるし、他のメンバーも皆経験豊富だから大文夫だろうという安易な気持ちでいた。天候も上々で、トレールも比較的しっかりしていたので、はじめての冬山経験者にとっては絶好のコンディションだったのではないかと思う。いろいろ私にアドバイスして下さった先輩方、どうもありがとうございました。
 9日の深夜、新宿発0時01分で茅野へ向かう。電車の中は他の登山者で混んでいて、ゆっくり眠ることもできなかった。10日、駅で朝食をすませた後、タクシーで学林まで行き、準備を整えて出発する。立場川に沿って旭小屋へ向かって登る。旭小屋を過ぎたあたりから急登になり、雪もちらつき始めた。トレースがあったので、ルートに迷うことはなかった。立場山を過ぎたあたりから風雪も強まり、ルートが見えにくくなり歩きづらかった。P2の手前あたりで幕を張った。時は11時55分。幕を張り終えたあとは、飲んで食べて寝た。
 11日朝4時起床。朝食をすませ、テントを徹収するころには明るくなってきた。昨日の雪はやんで、雲一つない良い天気となった。
 6時30分に出発する。昨日の雪で踏み跡が分からなくなっており、ルート探しに苦労する。途中に女性2人らしいパーティーのテントがあった。その近くでアイゼンを装着し、稜線上に出る。風もなく、天気が良いので快適に登ることができた。ピークの手前で左ヘトラバースし、最後の岩場にとりかかった。リーダーゲンさんのルートファインディングに従って、私、斎藤さん、飯塚さん、アキ子さんと続いた。やはり岩登りを経験していないとキツイと思う。滑落しないように慎重な足取りで登ること40分ぐらい(だと思った)で頂上に着いた。眺望はなかなか良く、富士山や南アルプス、北アルプス連峰が見渡せた。30分ほどの休憩の後、行者小屋へ途中何度もコケながら下降した。行者小屋へ着いてふと後方をふり向くと、阿弥陀岳が高くそびえ立っていた。ついさっきまであのてっぺんにいたんだなという気持ちが込み上がってくる。そして右手には赤岳がそびえていた。1時間半ぐらいで美濃戸口に着いた。

〈コースタイム〉
2月10日 学林(7:40) → 旭小屋(8:30) → 立場山(11:00) → P2(12:00)
2月11日 P2(6:30) → 阿弥陀岳頂上(8:40~9:00) → 行者小屋(10:00~10:40) → 美濃戸山荘(11:35~11:50) → 美濃戸口(12:30)

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