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一ノ倉沢南稜
飯塚 陽子

山行日 1991年6月1日~2日
メンバー (L)山本(信)、井上(博)、荒川、斎藤、飯塚

 上野を出発する時は、土砂降りの雨模様だったので、またこの分だと"岩のぼり"は無理だろうと思っていたけれど・・・・・・
 1日は曇りだった。この日はとりあえず、一ノ倉沢出合いまで行ってみたが、ガスでその全容を見せない一ノ倉の岩壁が不気味にそそり立っているだけで、昨日の雨で岩が濡れているせいか、岩に取り付いているパーティは見当たらなかった。私達も今日は、山菜採りなどして過ごすことにし、出合い付近でブラブラしているうちに、こんな日にも観光客とみられる人々が集まってきて、皆な驚きの顔で一ノ倉の岩壁を見上げていた。その気持ちもわからなくはないが、やっぱりこの場所には一般の観光客は入ってほしくないな、なんて極端なことを思ってしまったのだった。そして昼頃には団体さんも続々といらっしゃったので、私達はマチガ沢のマムシ岩に場所を移し、夕方までトップロープでアブミなども練習したりした。この日は、登山指導センターにて各自で夕食を摂り、明日の天気を願って早めに就寝。
 2日はAM2時に起きたが、空は相変わらず曇っているようである。しかし準備を整え、げんさんの知り合いの人の車に乗せてもらえたお陰で、一ノ倉沢出合いまで歩かずに済んだし、南稜テラスにも早く到着することができた。テラスに着いても、ガスはたまに切れたりまた覆われたりと、空は相変わらず曇っている。そんな中、げんさん、井上さん、私、そして荒川さん、ひろ子ちゃんと二つのパーティーに分かれて登っていくことになった。南稜はホールドやスタンスがたくさんあって、登りやすかったという印象をもったが、高度感は抜群で、所々岩がもろかったり、岩が濡れている所は滑りやすかったりと、当たり前だが注意力も忘れてはいけないと思った。前半から、ほとんど井上さんがリードし、私は最終ピッチの手前の2ピッチをリードさせてもらった。初めてリードしてみて、やっぱり緊張したしそれだけに登ったんだという実感も大きかったと思う。セカンドの時よりも、岩をよく見るという勉強になったし、私にとってとても良い経験であった。最終ピッチは、小雨もパラつき始め、岩がつるつるの状態になってきたので、げんさんがリードし、最後の難物の岩を乗り越え、南稜の登攀は終了した。それから荒川パーティーと合流して、まず稜線に出て谷川山頂に着くまでに雨足は強くなり、更に大雨の中の西黒尾根の下山は、長い長い道のりだった。登山指導センターに着いた時は、PM5時を回っていたが、全員雨でびしょぬれの為、諏訪温泉に寄り山菜うどんを食べて帰途についた。


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