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上州武尊山・山スキーツアー
飯島 豊

山行日 1991年3月9日~10日
メンバー (CL)鈴木(章)、(SL)勝部、井上(博)、飯島

 いつも山行の原稿書きは締め切り間近になってからになってしまう。服部氏のゲンコー鳴きとアッコさんに頼まれたのを思い出して書き始める。

 部屋を出る時雨が降っていたのでアッコさんのとこに電話する。返事は行くと言う。予報でもあまり天気は良さそうではないし、去年行った時はえらく寒く結局敗退したのを思い出し、気持は半分中止を期待していたけれどザックをかつぎ、スキーを手に出かけた。大宮でアッコさんに会い通勤客で超コミの上越線に乗る。沼田駅で降りると予約しておいたタクシーの運転手の人が親切に仮眠室を提供してくれた。それもストーブとコタツ付である。この日は早々に眠る。
 翌日は岩鞍スキー場より武尊山手前の避難小屋を目指す。スキー場のゴンドラを利用し、小雪の中シールをつけ西山分岐まで登る。ここから武尊田代までは下りで地図で見てもはっきりした目標がなく、ルートファインディングが難しく、 1時間くらいロスをする。スキーの下りは本当に難しい。田代湿原は急に目の前が開け、広く、時間が許せばのんびりとコーヒーでもしたい所であったが先を急ぐ。しばらく行くと緩い登りになり樹氷が出てくる。おかしなかっこうをした木々は我ら四人の目を楽しませてくれ、まもなく小屋にたどりつく。小屋は雪に埋もれていたので中には入れずテントを張る。十分暖ってから眠る。
 翌朝テントを徹収し出発したのが朝の6時半頃で、天気は良くない。中岳までは登るにつれクラストした所が多くなり、シールだけでは危ないのでスキーアイゼンをつける。これなしには私は恐ろしく歩けなかったと思う。キビシイ所が多くなり、風もまた非常に強かったが各自黙々と行く。中岳から沖武尊までは所々スキーを外しつぼ足で歩く。雪がモナカになっていて足をとられたりして大変であったが、沖武尊にどうやらたどりつく。頂上の指導標には立派なエビのしっぽができていた。ここからは下りになるわけであるが、夏道はとてもスキーでは降りれず、 一度戻るかっこうでトラバース気味に手小屋沢をころがる。私はあまりというかはっきり言ってヘたなので急斜面は自然ところがってしまうのである。適当な所でトラバースして尾根道に出る。このあたりまで降りると風もなく晴れてきて快適な山スキーを味わうことができた。名倉の頭という所でしばし昼メシとする。この後、奈倉川沢を下るが、かなりの斜面ではあったが、広かったのでキックターンで木々の間をすべり、やがて林道に出、宝台樹スキー場に降りた。夕方日没前であった。

 今回のスキーツアーはキビシイ所とおだやかな所と変化に富み、目一杯遊んだ。またアッコさん、勝部さんのルートファインディングがなかったら行けなかったであろうし、スキーアイゼンの威力、使い方等を知ることができ充実した山行であった。きびしいとやり終えた後の喜びも大きく、私は大満足であったし、他の三名もそうであったと思う。

〈コースタイム〉
9日 岩鞍スキー場ゴンドラ終点(9:30) → 西山分岐(10:20) → 武尊田代(13:50) → 避難小屋(15:30)
10日 出発(6:25) → 中岳(9:00) → 沖武尊(11:30) → 藤原武尊(夏道)(13:00) → 手小屋沢(15:00) → 名倉の頭(16:00) → 上ノ原山の家(17:30)

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