トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ276号目次

小室川谷
菅原 康之

山行日 1991年5月26日
メンバー (L)菅原、別当

 実は、今回の例会山行は富士山頂よりスキー滑降を計画していたのだが、雪不足の為に季節的に早い沢登りに変更したのです。
 小室川谷は、大菩薩より源を発し泉水谷に流れ本流の丹波川へと流れこむ沢で、けっこう流程が長く、水量も豊かでまた美しい溪谷らしいが、日帰りでは少々きついかと思われたが、車を利用すれば可能なので計画した。
 5月25日府中本町駅で待合せた別当を乗せ一路車は奥多摩方面へと進む。午後12時位に丹波川と泉水谷出合の三条新橋到着。明日は晴れますようにと祈りながら床につく。
 5月26日、予定より30分遅れて目をさますと素晴らしい天気が広がり絶好の沢登り日和になる。手早く準備をして、まだ目ざめていない体にムチを打って泉水谷林道をたどる。30分位歩いた所で橋が見えたので沢に下りたがチョットおかしいのである。ルート図には吊橋と書かれ泉水谷を50メートル下ると小室川谷が出合うと書いてあるのである。我々は少々上流まで登ってしまったらしくまた林道を10分位下ると右側に沢に降りる山道が目に入った。どうやらここが下降点で泉水谷を下ると、右岸より広い河原の小室川谷に出合う。水も思ったより冷めたくないし、天気も上々だしさっそく遡行開始する。入溪してしばらくは河原を進むこと15分位で釣り人と道遇。なるべく水の中に入らず飛び石通いに行く。しばらくすると今日初めての滝が現われる。8メートルで右側を登るとロープがぶら下がっている。やがてゴルジュとなりS字峡となる。ここS字峡は三段になり最初の滝は大釜を持っている。腰まで入り多少水量が多いが左側から越えると、残りの二段は難なく行ける。ここらでゴルジュ帯が終り、しばらくは明るく開けた沢をトボトボと進み左側にワサビ田跡を見かける。まもなくすると、またまた大きな釜を持った小室ノ淵が見えるが、泳がなくては突破できそうもない。何回かチャレンジしたが上半身はぬらしたくはなかったので、あきらめて右岸より高巻く。みごとな12メートル雨乞滝は、直瀑で左岸から登り上部で水線近くの所を上る。すぐに30メートルのナメ滝となる。ここも釜が大きく泳げば下から登れるが、我々は左岸の草付きより取り付いて中段に出る。上部は滑りやすく傾斜も増し、落口にでるほんの数メートルが緊張させられた。
 ルート図によると二段20メートル滝は左岸を快適に登ると書いてあるのを勘ちがいして右岸に取り付いたら、こまかいホールドで少々やばく緊張してしまった。ジャヌケ沢出合に着くころには疲れも出始め、足どりが重くなる。ここから本流は土砂の堆積や、倒木で歩きづらくなり傾斜も強くなりぐいぐいと高度を上げる。源頭近くは針葉樹の原生林で、時おり鳴く鳥以外は静かな所である。踏跡をたどるとヤブこぎもなく展望のよい草原的な稜線に飛びでる。しばし雄大な眺望に腰をおろす。
 下山路は、大菩薩嶺の山頂に登りうっそうとした原生林の中を丸川峠に下る。峠より牛首谷沿いのよく手入れのしてある登山道を泉水谷林道まで歩き、重くなった足を引きずりながら車を止めてある三条新橋まで戻った。

〈コースタイム〉
三条新橋(6:15) → 小室川谷出合(8:00) → S字峡(8:50) → 小室ノ淵(10:00) → ジャヌケ沢出合(12:00) → 稜線(13:20) → 丸川峠(14:30) → 三条新橋(16:30)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ276号目次