トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ277号目次

水晶谷~釣橋小屋敗退
阿部 梨枝子

山行日 1991年6月22日~23日
メンバー (L)今井、阿部

 6月21日、金曜の夜、池袋から通勤ラッシュなみの電車に乗り込む。お花畑駅で仮眠、三峰口駅からタクシーで天狗岩トンネルの手前まで入る。奥秩父というとどうしても「暗い」というイメージがあり、当日の天気もまた生憎の雨模様で、沢に入るのもついつい億劫な気分になってしまう。2、3日前にもけっこう大雨が降っていたため沢はかなり増水していて、流れも急で速い。膝位の徒渉でも何度も足をとられそうになる。太陽のガンガン照りつける真夏の暑い日ならばともかく、こんな雨の降るうすら寒い日にどうして首まで水につかっていなくちゃいけないんだろうなんて思いながらへつっていると、 「アレッ?」足が水中に浮いてしまっている。両手でふんばってみるものの流れに負けて体ごと流されてしまう。 「あーっ、おぼれる、おばれるーっ」と必死にもがいていると、気がついたら体は岩にへばりついていた。あーよかった、このまま流されてしまうのではないかと思ってしまった。(私、全くのカナヅチで実はとっても水がこわいんです。これ、ほんの数秒のことだったのですが、本当に焦りました。)
 ガイドブックを見る限りでは釣橋小屋までは特に困難な箇所もなく、ほとんど触れられてはいないが、よくみると『すべて水線沿いに遡行するにはかなりの技術を要する』とのアドバイス。天候、水量、その他諸々の条件によって状況は変わってくるのでしょうが、はっきり言ってこの日は最悪、だったと思います。
 かなりの時間を食って釣橋小屋に着いたのは、たしか3時半を回っていたと思う。この先古礼沢の出合まで行かなくては幕場はないが、この時間では到底無理。この日は釣橋小屋泊まりとする。(この小屋、相当荒れていて使えることは使えるが、ゴミが散乱し床は半分抜けています。)新聞を焼やして暖をとるものの、何しろほとんど水につかりっぱなしで着替えも持っていなかったので寒くて仕方がない。この日は寒さでふるえながらほとんど眠ることができなかった。
 翌日は予定のコースを行くには昨日の沢の状態からみても時間的にもちょっと無理、ということで熊穴沢をつめてみるもののあまり状況は変わらず。結局釣橋小屋まで戻り、左岸の山道を利用して豆焼橋の手前のところへと出ていった。ここで、思いがけず元山屋だったというおじさんの車に乗せてもらい三峰口駅まで送ってもらう。駅前の食堂で一皿600円もするレトルトのカレーを食べてから帰路についた。
 2日間、リーダーの今井さんにはお世話のかけっぱなしでした。ホントにホントにお疲れさま。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ277号目次