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編集後記

中国旅日記から★★★

 広州にやっと入れたものの、人が多くてゴミゴミしてるこんな所、さっさと脱出したい。ならば次なる目的地・昆明への切符を手に入れなければと、広州駅へ向かう。すると、ギョー。列車待ちだか何だか、ものすごい人また人で唖然。 一体どうなってるのか解らず放心状態になっていると「ねー、どこ行くの。切符買うの」と声をかけてくる男あり。ナ、ナニ!?と目を向けると、その男は「今日の分のはあんなに並んでるんだよ。買えないぜ。でも、行き先によっちゃ、切符分けてあげるよ」と言う。ハハーッ、ダフ屋だな。「あさっての昆明」と言うと、「あさっての分はここじゃない白雲路の売場だから、案内して買ってやるョ」と言う。するともう一人男が出てきて、「オレの方で買ってくれ」と言ってきた。「白雲路でしょ。いいわよ自分で行くから」と言っても「買えないってば。350元でいいからさ」バカヤロー!ふざけるな!正規中国人料金の三倍の値じゃないか!怒り爆発!
 ダフ屋を振り切って白雲路の売場へ行ってみると、アレー。ここもまた並んでる。しかも今日を含んで三日以内の寝台はどの行き先も満席と書いてある。でも、そうは言ってもあったりするのがここ。とりあえず並ぶ。と、何と割り込んでくるヤツがいるではないか!しかも公安局の服を着てる!何、ナニ。またしても怒り爆発。
 やっと順番が来て「あさっての昆明行き寝台1枚」と言うと、「ナイ。明日来い」。「明日なら取れるの?」と聞くと「とにかく今はないんだから明日来なさいっ」と切符売りのお姉さんは、虫の居所が悪いらしく荒々しくその言葉を投げつけて来た。どーせ明日来たってないということは薄々察しがつく。大体、ほとんどの行き先がすべて売切れなんて考えられない。きっと売場とダフ屋はグルだ。飛行機で行こうかとすっかり気落ちして売場を出ると、果たしてダフ屋がセールスしてきた。案の条行き先を言うとすぐさまどこからか希望通りの切符を持ってきたのだった。結局そのダフ屋を値切り、翌日分を280元で購入した。 一般料金の倍の値だが、この国には外国人料金というのがあり、それから見ると大して違わなかった。でも他の人は・・・。列車の同じ寝台に乗り合わせた中国人も、やっぱりダフ屋から買わざるを得なかったということだった。列車の乗務員にそれを言っても「あ、そっ」と軽くあしらわれただけ。
 こんな様な事は結構あって、イヤな思いをすることもあるけど、こういうのがあるからコソ面白い。わざわざハプニングを求めに行ってるのかも知れない。逆に人々の温かさに触れることもモチロンあるし。いろいろ考えさせられることは沢山あるけど、旅のみに関して言えば、予定外のことがどんどん起こり興味はつきないのだ。

(斎藤)

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