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刃物ヶ崎山をやめて荒沢山に行った
勝部 辰朗

山行日 1992年3月21日~22日
メンバー (L)勝部、服部、今井、鈴木(章)

 念願の刃物ヶ崎山行も、水上駅に着いたとたんに「やめた~」となってしまった。
 侍合室の外は、ボタン雪がドカドカと降り積っている。まだ雪崩の下で冷たくはなりたくないので、即次回順延としたものの、
「よわったな~。どこ行こか?」
 迷った挙句、手近でそれなりの面白味のある荒沢山へ行くことになった。
 3月21日、10時頃だったかな~、中里スキー場駅で下車し、リフト1本を使って上がり、そこから柄沢山へとラッセルの開始である。マイナーな山の上にまたこの雪だ、トーゼンのごとく他のパーティは居なく、全て我々だけでトレースをつけていかねばならない。ムフフ、血沸き肉躍るのだ。
 柄沢山までは膝から腰ぐらいまでの深さだ。自分達だけでトレースをつけていくのは気持ちのいいもんだねー。
 柄沢山に12時頃到着。まだ早いが、これから先は尾根が細くなる一方なので、ここで幕を張ることとした。
 ちょっと早過ぎるので、酒の在庫量と相談しながら、そろりと宴会を始めた。実は今日は私めの40才の大台に乗る記念すべき誕生日であったのだった。ジャンジャカジャ~ン。しかしながら、そんなこととは全く関係なく宴会は進められて行ったのであった。
 3月22日、6時出発、やせ尾根を交替のラッセルで進む。地図上の1148m小ピークあたりの岩場マークの所は、思ったとおりのナイフリッジとなっていた。始末の悪い事に、古い雪稜の上に新雪が5~60cm位雪ピ状に積って、足を乗せる場所が判りづらい。局部的に足を一幅踏み外すと「さよならさよなら」の所もあり、ピッケルで新雪をたたき落し、足で探ってゆっくりと体重をかけて進む。とにかく両側、下が全く見えない程スッパリと切れ落ちている。スリル満点である。
 難所を越すと急登となり、雪も一段と深さを増す。ピーク直下では胸まで(アッコさんは首までと言っていた)のラッセルとなった。荒沢山のピークには12時頃着いた。時間的に足拍子岳までは無理なので、ここから土樽駅へ延びている尾根を下ることとした。この頃になってやっと雪が止み、晴れ間から光が差し込み始めた。
 バフッ、ハフッ、と胸までのラッセル下りである。思う存分雪にまみれて遊んだ感じだ。久々だな~。
 我々だけでこの山と新雪を独占しちゃって、申し訳ないね、全く。
 尾根の末端に出たのが2時頃だった。やれやれ。でもこれから林道のラッセル30分がまだ残っていたのだった。


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