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冬山を経験して(那須・茶臼岳)
小林 偉城

山行日 1992年2月8日~9日
メンバー (L)大久保、服部、高木、上木、澁谷、福間、小林(偉)

 91年、49才で三峰会に入会した。体力維持、ボケ防止等軽い気持ちで入会するつもりであった。ところが、会の説明を聴いているうちに、本格的山行愛好集団であることを知った。今まで軽ハイキング程度の経験しかなかった私にとって一瞬とまどいを感じ、すぐにでもこの席を立去らなければならない衝動にかられた。丁度ルームの方では募集が始まり、説明者はこちらの動揺など全然感知せず、その中から適当な山行を薦め決めてくれた。結局、三峰会に入った。
 それからが大変。言われた通りに用具の買出し、整備等慣れない生活が始まった。それでも季節は秋までで頑張ればどうにかついて行ける山行、特に温泉付きに参加し、結構おもしろい経験をさせてもらった。年も押し詰まり本年入会者の雪上訓練計画がルームで話題になっていた。新人でも他人事の様に構えていた矢先、「小林さん行きますネ!」の言葉にNOと言えなかった。妻に無理しない方がいいよと言われるものの、決めた以上、薄給の中から最低限と思われる用具の買出しに再度奔走することになった。夏富士山は家族と行った経験があり、しかも頂上まで行かないとのこと、慣れない事を経験するだけと軽く考えていたが、いざ行ってみると、寒いの寒くないの、なんでこんなことまで訓練しなければならないのか、これからも役立つのか、アホヤナイカ!等ボヤキながら指導を受けた。妻からは、無事に帰って来てよかったネ、大変だったでしょう、と言われ、その一部始終を話しているうち、なんだか本当に私も雪山に行ける技術が身に付いた錯覚にかられ、年末年始の山行は無理としても、チャンスがあれば適当な山行に行ってみたくなってきた。
 2月8日、9日に大久保リーダーの茶臼岳が計画されていた。しかも温泉付きであった。意外にも早いチャンス到来。早速応募した。注意点として、突風が吹く、それに充分気をつければ、今年も雪は少なそうなので楽しく行けるコースとの説明であった。大久保さんらは恒例の山行とのことであった。メンバーはリーダーと女性二人を含む7名であった。コースは、
 第1日 上野駅~黒磯~大丸~峰の茶屋~三斗小屋(大黒屋)
 第2日 峰の茶屋~茶臼岳~峰の茶屋~大丸~黒磯
であった。
 リーダーは黒磯駅に着く前頃から、他の人達は駅に着くなり完全装備にとりかかった。素人の私にとって、全然雪がないのに些かオーバーではないかと思いながら完全武装し、タクシーに乗り大丸に向かった。大丸からすぐに雪山に入る為であった。足のはこび方もわからず、歩幅の違いで踏みはずし、時には膝までつかり、転ぶことを再々繰り返しながら同行するのが精一杯であった。当初は、景色など全然見る隙もなく、ただただ足跡を見るだけであった。体内は汗ばみ、皮膚は寒気を感じ、これが冬山であることを感じながら無事三斗小屋に着いた。風呂、夕食は最高で初経験故か、突然アルコールのメーターがのぼり、皆様に迷惑を掛けてしまった。翌日は、朝風呂に浸かり、突風が吹き荒れる茶臼岳を目指し山行を開始した。止まる以外に安全策は無いとの指導を受けながら、無事黒磯に戻って来た。
 今回は冬山入門の一環であるが、私にとってみれば本格的山行の始まりで、色々な経験をさせてもらい、大変楽しかった。今後もこの程度の山行を繰り返しながら、一人前になって行きたいと思っております。


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