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編集後記

 先日西上州の山々に出かける機会がありました。近いのになぜか足が向かなかった山です。近くに上越国境の山や八ヶ岳などがあるためかもしれません。
 ここもまた、例に漏れず中高年の週末登山家で賑わっていました。いろいろ話などしてみると、驚いたことに地図を持って来ていない人も少なからずいたということです。今でこそ人が沢山入るアルプスや東京近郊の山にはしっかりとした道標があり、それを辿って山歩きをできないことはありませんが。しかし西上州といえば、あやふやな間違えやすい踏跡も沢山あり、迷いやすい所だというのにです。
 しかしながら、あまり人の入らないこの山々でも、指導標がポツリポツリと見受けられるのでした。それは一部の山々では朽ちた板となっていたり、またある一部の山々では、きちんとしたプレートのものが掲げられているのです。そしてそこには、これを付けたであろう地元の山岳会の名前が記名されているのでした。これを見るとここが地元の山岳会の人たちのフィールドであると同時に、その人たちの手で登山者の安全が守られているということを感じます。そして自分も地図がありながらも、その道標を目で捜しつつ前へ歩を進めていっていたのです。
 「山行に地図を持っていくのは当たり前。けど、山に道標があるのも当たり前」と、知らず知らずのうちに思っていたのです。もし道標がなくて地図のみで自分の行き先を決められるかどうかといえば、いささか不安なものがあります。実際に自分の足で山へ出かけていくのは楽しいけれど、家で地図を見ながら机上で登山を楽しむのも、何かしらいろいろ判ってくるものがあったりして面白いのではないかしらと思うのです。

【斎藤】

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