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集中山行・谷川岳
その3 ヒツゴー沢は必GOの沢なのです
斎藤 ひろ子

山行日 1992年7月25日~26日
メンバー (L)大泉、荒川、福間、斎藤

 夏の集中は谷川と聞いて、これは無難に尾根道を行くのが良いかもと思ったものの、折からの太陽ギラギラ、熱気ムンムンでどうしようかと迷ってしまうのです。沢は行きたいけど、谷川岳へ突き上げる沢=ほとんど岩登り的沢ではないか?果たして水はあるのか?と谷川と言うとあの岩壁のイメージが強くて、谷川の沢というのが想像もつかなかったのです。
 ヒツゴー沢は沢のグレードとしては、2級で前夜発日帰り。標高差1100メートル、距離2.2キロを遡行時間3時間30分とバイブル関東周辺の沢には書いてあります。これだけ見ると、急な勾配、滝なんかありそうだけれど手頃な沢かも知れない―。と思えるのだけど、しかし、しかしそれは谷川なのだぞと圧迫されてしまうのです。さてさて、そのヒツゴー沢は・・・・・。
 7月24日夜から翌25日朝にかけて、快適な水上ステーションホテルで熟睡。
 7月25日、朝から洗濯度指数100!のものすごく良いお天気。ホントに沢日和です。ヒツゴー沢隊メンバー、大泉リーダーを先頭に荒川、福間の各隊員は、今だかつてこんな沢日和に恵まれたことがあっただろうか?と、過去の沢の記憶を辿りつつ、(斎藤隊員は考えてなかった)谷川温泉から二俣までの歩を進めて行ったのです。ちなみに水上~谷川温泉間はタクシーで約10分位、900円弱です。
 二俣から出合へ降り立つと大きな岩に、全く丁寧に親切に『ヒツゴー沢→、オジカ沢←』と黄ペンキで記してあり、日本語の読めない人以外、必然的にヒツゴー沢へと導かれていくしくみになってました。気も緩みだし、沢へ入って行くと、あらまあ水がない!のです。ずっと雨が降ってなかったからかしらと水を求めると水たまりがポツポツとあり、そこにはヤマメ親子が4畳半一間に一家で住んでました。でもやはり水は少し行った本流にちゃんとあります。
 沢ガイドには、これから先の主だった顕著な滝が書いてありますが、小滝が出た出たと思えばナメになったり、意外にも大きいプールが出てきたりと息つく間もなく、その沢姿を変えてくれるのです。天気も相変わらず良いし、時間もあるしで、小滝でシャワーボルダリングなどして遊んでみます。こんな絶好の沢の中で皆の行動を観察してみますと、大きい豪快な滝には追いつくひまも無く、すでに大泉リーダーがちょっとピッチリめのトレパンで取り付いているし、滝下の深めプールがあれば、水だろうが何だろうが福間隊員が山の収獲帽をつけてズンズン侵入して行くし、ヌメっていやらしそうな岩場があれば、スラブ好きの荒川隊員がヒタヒタとハデな蛍光沢たびで攻めて行ってくれ、3人寄れば文殊の知恵もといメンバー集まりゃ結構行けるのです。呑気ものの私としては楽チン、大バンザイなのです。
 何だかんだのんびりしてたら、いい加減そろそろつめて行かないとという時間になってピッチを上げていきます。天幕張れるような場所が無いのが残念です。つめは薮こぎも無く良し良しと思ってたら、これが案外くせ物で、水の無い枯れ滝を越えて越えて又越えてのなが~いつめなのです。結局つめるだけで2時間弱も要してしまったのです。肩の小屋到着はすでに夕方。5時前でした。明日は皆が来るのを待つのみ、ということで落ち着いてゆっくり天幕での一夜をすごすことができました。
 コースタイムが3時間半というのはちょっと首かしげものですが、行ったことのない方、特に悪場も無く、かと言って単純かと言うとそんなコトのない明るく開けたヒツゴー沢へ是非行ってみて下さい。谷川の沢も面白いのだということがわかったこの沢はホントに必GO!の沢ですョ。

〈コースタイム〉
二俣(9:00) → 肩ノ小屋(16:45)


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