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葉山
佐藤 明

山行日 1992年10月24日~25日
メンバー (L)佐藤(明)、原口、川又、牧野、鈴木(章)、鈴木(嶽)

 葉山は山形県の月山の東隣りに鎮座する単独峰で、旧来より山岳信仰の対象として地域の人々にあがめられてきた。標高は1500メートルにも満たないほど低いながらも、その整った山容はブナなどの原生林で広くおおわれ、開発もそう進んではいない。また冬期の大量の積雪は様々な動植物の成長を促し、まだまだ自然の恵みも豊富である。私は山岳うまいもの獲得信仰の対象としてその収穫の時期をツバを飲みながら伺っていたのだった。
 92年10月23日夜亀戸に集合。レンタカーで一路北へ向かう。夜間のドライブは単調で眠くノドも乾く。いく度となくもう走るのはやめて宴会にしようとドライバー川又氏に進言するものの、その望みは叶えられないままズルズルと山形の近くにまで来てしまった。これではいけない。私はリーダー権限で宴会開始を指示し、ついに高速出口への最終バーキングに止めた車内にてささやかながらもとりあえずは目的達成となった。午前2時。
 翌朝6時起床。すぐに走り出し、途中山形市内の鈴木モンちゃんを拾うべく目をこらす。そして、誰かの「アッ、いた」との安堵と驚嘆の声に私も目を疑った。三峰の猛者として、30年ものキャリアを十分に感じさせるそのいでたち、その装備。それと引き換え東京組はGパン運動靴等とても山登りとは思えないかっこうなのに。「モンちゃんは昔から全く変わらないよなあ」との原口さんのあいさつ。皆、妙に納得したようである。
 8時過ぎ、村上市の葉山登山口近くにある、故作田千恵子さんの実家へ到着。さっそく千恵子さんのご仏前に手をあわせ、一周忌当日だった昨日に来れなかったことを詫びる。ここで朝食をゆっくりとごちそうになり、11時過ぎ重い腰を上げる。まずは車で10分少々の葉山登山口ヘ。しかし小雨で風も少々あるため、何となく意気が上がらない。一人モンちゃんだけは元気一杯でテキパキとその準備を完了するが、他は全員ダラダラと用意している。モンちゃんが皆を促すが、原口さんは「登るつもりでいるのはモンちゃんだけだよ」。よく言ってくれました。その一言でこれからやる事は「予定通り」キノコ狩りとなる。そう決まったとたん急に雰囲気が明るくなる。まずは、先程千恵子さんのお父さんが教えてくれた場所へ行ってみようとするが、林道が新しく出来ていたためよく分からず付近をウロウロ。それにしても、うまそうなキノコどころか、キノコのキの字もない。途中で道路の測量をしていた人に聞くと、今年はキノコがまだ出ていないとの事。しょうがないので畑に捨てられていた形の悪いダイコンをおみやげとしてキープする。
 その後時間が余ったので、銀山温泉へ行くことになる。ここはNHKドラマ「おしん」で一躍有名になった所だが、温泉街のたたづまいが昔のままなのがうれしい。共同風呂に入り、夕方再び千恵子さんの実家へ戻る。今度は千恵子さんのお兄さんが仕事から帰っている。独身でなかなかのハンサム。章子さんも牧野さんもソワソワしてどうも落ちつかない。「牧野さん、ここの家の娘になったら?」「いやいや章子のほうがお似合いよ」などとお互いに牽制しているうちに彼は用があるため今日は外泊しなければならないという。何か身の危険を感したのだろうか?出かける際に甘い言葉をかけられたらしく、彼は車の運転を誤り、庭のコスモスをなぎ倒してしまった。
 夕食、そして翌日もゆっくりと朝食をごちそうになり、11時出発。東京着19時。
 山にはさっばり登らない例会山行だった。


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