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倉岳山
大久保 哲

山行日 1993年1月10日
メンバー (L)今村、田代、大久保

 倉岳山に「お忍び」で行ってきた。お忍びとは言っても、別に怪しい女性と人目を避けて山に登った訳ではない。同行したのは妻あり子供ありの、れっきとした家族持ち男性二人である。では何故お忍びなのかと言うと、この山行中誰にも会わなかったのである。この時期には、誰もこの山には登らないのだろうか。と言うとそうでもなく、我々の前を誰かが歩いた形跡はある。結果的にお忍びのような山行になっただけである。
 立川駅、9時20分発の電車で梁川駅に向う。前日の天気予報は雨。家を出る時も小雨が降っていたが、電車を降りる頃には時折日も差してきた。天気も保ちそうなので、予定通り出発する。今回はハイキングコースを行くのではなく、立野の部落から右にそれて、神社裏手から尾根に取付き、そのまま突き上げて倉岳山山頂に立ち、下山は北稜を下るコースをとる予定である。今村さんらしい山行計画である。
 と言う訳で、今村さん、田代氏の三人で、本年度最初の山に向う。女性の参加者が無いのが少々さびしい気がするが。歩くこと10分で神社に着く。先ずは最初の493mのピークを目指す。うっそうとした杉林の中を進み、尾根を探し取付く。登るにつれ眼下に梁川の町並みが広がってくる。しだいに傾斜も弱くなり、493mのピークに着く。展望もいいので一本取る。高柄山から倉岳山への稜線もはっきり見える。ここからは先は、一度下って倉岳山の手前にある747mのピークを目指し、そこから山頂に向う。トップを今村さんから替わり、下りだす。しだいに笹ヤブが現れ、進むにつれ今朝までの雨で濡れた笹から滴がたれて体にかかる。カッパを着ていないのでグショグショになりながら進む。ヤブもなくなり、歩き易くなるかと思ったら、今度は斜面が濡れてすべって、なかなか思うように進まない。それでも何とか747m地点に着く。ヤブを過ぎてからここまで、途中途中に赤いテープが巻き付けてあるのでありがたい。山頂までの約3分の2を登ってきたので気が楽になる。しかし、田代氏は久しぶりの山で、ひとりで大量の汗をかいている。多分、年末年始で多量の毒汁を体にため込んだのであろう。たまには毒汁を出してあげないと、体に悪いよ。
 話が横道にそれたが、ここから先は比較的歩きやすく、頂上近くで傾斜がきつくなるが、ほどなく倉岳山山頂に出る。山頂は展望もなく、15分ほど休んで下りだす。下山は北稜をいくが、こちらも登りと同じように、赤いテープがところどころ巻かれている。おまけに、ピークごとに標高まで記入されている。この目印で、迷うことなく無事小篠の部落に出る。約5時間の山行だった。こうして、新年最初の山は、お忍びだった。

〈コースタイム〉
梁川駅(9:20) → 493m地点(10:10) → 615m地点(11:00) → 747m地点(11:45) → 山頂(12:40) → 小篠(14:15) → 鳥沢駅(14:45)


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