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鶏冠谷左俣沢のぼり
福間 孝子

山行日 5月29日~30日
メンバー (L)荒川、別所、福間

 テレビではここのところ週末には必ず雨が降る事になっているようだ。雨の中の沢のぼり。想像しただけでもみじめになってくる。でもまあ行けばなんとかなるさ。と、八王子を土曜の午後に出発、塩山にて16時半の西沢渓谷行最後のバスに乗り込む。
 終点のバス停より歩きはじめ、二俣出合から東沢に入りトサカ谷出合付近の河原にテントを張る。7時だというのにほんのりと明るい。星も顔を見せはじめ、山の端は月明りがさしている。ほんとうに雨が降るとは信じがたい。河原でたき火をたく。別所さんが水を得た魚のように火を燃やしつづける。タ食はシチューにフランスパンにワイン。なんだか私達にとってもマッチ。
 翌朝少しばかり朝寝ぼうをしてしまい、朝食後そそくさと出発。いきなりのF1の滝は右から捲いていく。今はまだ濡れるには勇気がいりすぎる。小さな滝やナメが続き、1時間半で右俣との出合いの二俣。ここで休憩をとる。雨が時々パラパラとくるけれど大きくくずれる気配はない。1時間ほどで一の沢との出合、次に二の沢三の沢と続くのだが、一番気持ち悪かったのは「逆くの字」と呼ばれる所で、足元がズルッといきそうで本人はレイバック気味に登っているつもりだが、はたから見るとそうは見えないようだ。三の沢出合の上流で水の中に頭をつっこんで死んでいるカモシカを発見。不覚にも思わず悲鳴をあげてしまう。別所さんがいい角をしているといってしきりにさわったりひっぱったりしている。頭を水の中から引きあげるとものすごい臭い。肩の所から大きな穴があき中身は食べられてしまっているようだ。どうしてこんな所で死んでいるのだろう。ガケから落ちたのだろうか。けっこう足場が悪いから、いやこれは老衰でしょう、などといいながら一句「カモシカも岩から落ちるトサカ谷」合作です。
 最後のつめは右側のスラブ状の小さな沢を見つけて登りつめ、技尾根に出る。稜線に出たのが11時半ごろ。トサカの山頂で昼食をとる頃は天気もバッチリ回復してながめもバツグン。東沢のナメ沢がいくつも見える。下山はトサカ尾根の第二、第一岩峰をクライムダウンする。ちょっとした高度度感があっておもしろい。ヒザがガクガクしだすころ最初の東沢との出合に到着。


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