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編集後記
服部 寛之

 編集後記に何を書こうかここ数日考えているが、ちっとも考えがまとまらない。種が無いのではない。いくつか思いつく話はあるのだ。マッキンリー登山の折り見聞した、ビールの値段、肉の厚さ、人間の太り方、米国アウトドア・ライフの底力、休暇の長さ、アラスカ・ストロング蚊との戦い方、人々のやさしさと笑顔。水戸の美術館で見た原田泰治氏の絵。渡辺一枝さんの野草や保育の本。高田宏氏の『木に会う』。最近しみじみと沁みるさとう宗幸さんの歌。中東和平の展望。歩く世間迷惑良識無き喫煙者よ死ね。今年の紅葉の色、などなど。
 それぞれに感じ、心に想うことは多々あるのだが、考えをまとめようとするとどれも些未なことのように思えてきて文章にするまでもないと思ってしまうのである。どうしてなのかよく分からない。だからこんな文章を書いている。
 秋だから、なのだろうか?空の高さや風の感触、咲く花の色形が人の心に力を持つものならば、それらがこれほどまでに意味を持ったことは、僕にはかつてなかったことだ。詩や文学にはこれまで縁が無いと思ってきたが、多少かじってみれば季節の引力の不思議が少しは理解できるだろうか?
 それとも単に、『歳』なのだろうか?齢重ねてますます不思議が増える。と言うほどにはヨワイは重なっていないか。
 そういえば、『すべてのわざには時がある』という言葉があったな。箴言だったか、伝道の書だったか、忘れてしまったが。
 ・・・・・・やはり、歳、か。

 原稿書いてね。


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