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北岳バットレス「上部フランケ」
福間 孝子

山行日 1993年9月19日
メンバー 山本(信)、荒川、飯塚、福間、田川

 9月17日の日にひとり遅れて広河原に入る。まだ真っ暗なのでバス停の軒下を借りて仮眠する。1時問程して出発する。皆が出発する前にたどり着けば良いのだが、と気持ちは焦るのだが寝不足のせいか体がなかなか前に出てくれない。やっとのことで目指す合流地が見えてきた。きっとあのテントだと思われるところに若い男の子が独り食事をしている。あ-、吉江くんだ。よかった間に合った。手を振ったり、愛矯を振ったり、思い付くもの全部振り回したあげく人違いだと分かったのが5m手前。下を向いて顔を赤くして「こんにちわ」と言うのがやっと。きっとへんなおばさんだと思われたにちがいありません。またバカをやってしまった。
 そんな事で落ち込んでいる場合ではない。テントのなかはも抜けのから。急いで登攀道具一式取り出してかけるがごとく、といきたかったのですが本当ははいずる様に下部の岩場にたどりつくと、いたいた。でももうここからじゃ間に合わないな。という事でみんなガンバッテ。私はちょっと北岳に挨拶にいってきます。八本歯から北岳、御池小屋経由でテントに戻ったころには雨が本格的になっていました。
 19日早朝より行動を開始する。上部フランケのメンバーは、ゲンさん、荒川さん、福間、18日の日に入山した飯塚さんと田川さんの5名。天気はまったく間題なくいい天気だがまだ所々岩が濡れている場所がある。あまり難しくないピッチはトッブをやらせてもらう。本番でトップは気持ち良いけれどちょっとびびってしまう。まだまだザイル操作やビレイにてまどってしまう。未熟にて候。振り向くと景色はもう最高で、足元からスカーンと切れ落ちた壮快感。谷をはさんで目の高さにはるか富士山が浮かんでいる。こんなに気持ちが良いのも久し振り。ただ私達が遅いのか、人が多いのかマッチ箱のコルの下でずいぶん待たされる。待っているだけでふくらはぎがぱんぱんはってきたころようやく最後のピッチとなる。これでやっと田川さんのダジャレ攻撃から解放される。
 午後1時半登攀終了。荒川、飯塚チームは先に到着していて私達が一番ビリのようだ。お待たせしました。ここから登山道に出るまでにゼーゼー息があがってしまう。緊張感が抜けてしまったせいだろうか。皆ほんとうにタフだなあ。という訳で最後の一日晴れてよかった、きてよかった、とってもおもしろかったの三重マルでした。


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