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笛吹川東沢鶏冠谷左俣
菅原 康之

山行日 1993年9月12日
メンバー (L)菅原、大泉、澁谷

 本来ならば今日9月11日は七ガ岳に登っているはずなのだが、今、車を塩山に向けて走らせているというのも・・・・・
 実は9月11・12日で会津の七ガ岳を企画したのだが、メンバ-の一人が沢登りに行こう行こうと私を誘惑するので、ルームの帰りに寄る飲み屋で言い訳がましいがアルコールの魔力によって軟弱な私は誘惑されてしまった。それにまた今回はメンバーが少ないし、まだ1回しか沢に行ってないので未練があったのも理由である。
 9月11日夕方頃中央線の武蔵境駅で今回の参加者、大泉氏と澁谷さんと待ち合わせをし、中央道を西へむかう。
 塩山に着く頃には日はとっぷりと暮れ、時たま降る雨に明日が気になりつつ今晩の宿(東沢山荘前の無料駐車場)に21時位に到着。早々車内では好みのアルコールが並び、色々な話題で花が咲き夜のふけていくのも忘れる。
 9月12日6時起床、外は少々肌寒いしそれに天気も今一つ。沢の冷たさを思うと少々気が重たいが、大キジをして身は軽い。しっかり朝食をとり、他の数パーティが駐車場を出発するのとほとんど同じ位に我々も歩きはじめる。何回か歩き馴れた林道をトボトボと東沢へ進む中、頭の中では沢のことで期待と不安が交互に浮かぷ。まもなく二股の吊橋を渡ると右より東沢に入る踏みあとがあり、これを行くと本流の河原へおりる。ここで身仕度をしていると、ぞくぞくと沢屋が集まりおおにぎわいで皆さんどこへ行くのかな?コバルトブルーの水に第一歩ふみこむが、やはり冷たいが身が引き締まり、気持ちがよい。2、3回渡渉ののち二股より15分位で鶏冠谷出合に着く。
 鶏冠谷の入口は短いゴルジュになっている。右岸側をへつりぎみにぬけ小滝を越えると、飛沫が舞い上がっている魚止めの滝が行く手を阻む。しばし見とれながら直登ルート調べるが、水量が多いため左岸より高捲く。しばらくは単調なゴーロが続き飯盛沢・奥飯盛沢を左に見たのちやっと滝がでてきた。まず3段10メートル以上のナメ滝で左側をスリッブに注意しながらのぼり、おつぎは逆くの字滝で、水流のなかを直登できるらしいが、水量が多い為左より高捲く。すると渓相がパッと明るくなり右俣との出合いである。ここは、休憩するのに絶好の場所だが、先が長いのでもう少し先へと足をのばすことにする。幾つかの滝を慎重に突破してゆくと、目の前に50メートルの落差で一ノ沢が現われ、本流は右に析れ約20メートルの滝をかけてたちはだかっている。直登は困難なので沢を少々戻り、右側の熊笹をはいあがり明瞭な踏み跡をたどって高捲すると滝の上に出られる。ここからナメ滝が連続にあらわれ足取りも軽く、これだから沢登りはやめられないと思いつつ、途中ニノ沢・三ノ沢を左に見ながら沢歩きを楽しむ。容易な小滝を次々に越え四ノ沢をすぎた辺りから水流が細くなり、やがて原生林の中に消えてしまった。ここより上部はヤブだが、適当なケモノ道で高度をかせぐと鶏冠尾根に這い出る。しばし展望を楽しみながら下山ルートの検討をするが、結局鶏冠尾根を使っておりることにする。ペンキやテープの目印に導かれながら尾根を忠実にたどり、途中左側の斜面をトラバースぎみに第二岩峰を捲いたり、やせた岩稜をクライミングダウンや懸垂で下降する。樹林帯に入り迷いそうなルートを指導標を頼りにぐんぐんと下ると、やがて鶏冠谷出合が見えてくる。駐車場に戻って来たときには、日はとっぷりと暮れていた。

〈コースタイム〉
東沢山荘前駐車場(7:00) → 鶏冠谷出合(8:00~8:05) → 一ノ沢出合(10:50~11:00) → 2177mピーク(13:30~14:00) → 鶏冠山(15:00~15:10) → 鶏冠谷出合(17:40) → 東沢山荘前駐車場(18:30)


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