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三峰山岳会に入会して
井上 雅春

 初めて山に誘ってくれた友人が山を捨てて以来、周囲に登山はおろかハイキングをする人間も全く見当たらなかった私は、いつの間にか山を忘れて、オートバイやマリンスポーツといった、自分には似合わないものに夢中になっておりました。
 それが突然、古本を整理する為に山の本を読返し、再び山に行く気になりました。
 押入れの中にしまってあったザックを引張り出し、カビだらけの登山靴を磨いて、とりあえず近場から登り始めましたが、独りではガイドブック通りの日帰りや小屋泊りが関の山でした。季節はずれの低山ハイクで、人の姿が見えないと、もうそれだけで不安になり体調がおかしくなって、ふと人の顔を見かけただけで元気を取戻すといった、本当に臆病者の私には、「単独行」の世界など超人の話にしか思えませんでした。
 誰かと一緒に行きたいのですが、当時の私には、山岳会というのは高度な山を目指す屈強な人々の体育会的集団という認識しか持ち合わせていなかったので、とても会に入る気にはなれませんでした。
 ところが、そうしているうちに多くの人と同じ様に雪山にどうしても行きたくなり、経験者のいる会に参加しようと覚悟を決めました。どうすればよいのか、山の雑誌であれば探せると思い、それまで「ヤマケイ」や「岳人」は「夏山JOY]ぐらいしかまともに読んだ事がなかったので、本屋で募集欄があるのを確認して買って帰りました。よく見ればかなりの団体が募集しており、なんとハイキング・スキー・山菜採り・温泉等の文字があるではありませんか。これなら自分でもなんとかなりそうだと思い急に浮き足立ちました。早速案内書を送ってもらった中から、職場に近いというだけで三峰を選び、他の会を見て回るつもりなどなくすぐに入会しました。
 それからは期待通りの雪山や沢、岩など今迄全く知らなかった世界を経験することができて、山の楽しみが何倍にも膨れ上がりました。こんな事ならもっと早く覚悟を決めれば良かったのにと、今でも後悔しております。
 然しながら数多く続けて参加することがなかなかできずに、まだまだ初心者の域から出られません。確固とした目的意識を持たないまま漠然とただ道楽や息抜きとして山へ登っているせいか、技術や経験が身に付いていないようです。それでも55周年に入会以来丸5年が経ちました。本来ならもう新人を引張って教える立場にいなければならない頃だと反省しております。
 これからも山登りは一生の楽しみとして細く長く続けていきたいと思っております。そしてもっと深い山の楽しみを知る事ができればという思いもあります。その為にもより楽しく安全に山へ登れるよう技術の習得・向上を意識しなければなりません。どうやら書いているうちに当面の山に対する目的が見えてきたように思います。
 そしてまた、後から入会された方が会の為尽力しておられるのを見ると申し訳なく思います。三峰の会員として山を続けるつもりでおりますので、組織の一員としての意識ももっと持たなければとも思っております。
 どうもつまらない反省文になってしまいましたが、私にはその傾向があるので(卒業文集など読み返すと、しきりに反省しまくっているが、どうもその後の人生にはあまり役立っていないようです)御赦しください。とはいえ気のきかない男で、今後共御迷惑かけっぱなしになるかも知れませんが、宜しく御願いします。
 最後に植物や動物・鳥などに詳しい方、今後私と動向の際は色々と教えて下さいますよう御願いします。


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