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三峰六拾周年を迎えて
太田 晃

 三峰が六拾周年を迎えました。長い道程でした。五拾周年の記念式典を新橋の第一ホテルで盛大に行われたのが、つい昨日の事の様に思い出されます。此の六拾年は然し平易ではありませんでした。日本の激動期戦争に次ぐ戦争で優秀な会員諸氏が戦場に散華し戦局の苛烈と共に総てが国家の統制下に山岳会も日米開戦後、日本山岳連盟に集約され山行も個々の楽しみで無く国家に一身を捧げる為の体育練成を目的とする団体行動を強要されて行き、会の活動を中断せざるを得なくなった事があります。此の事は五拾年記念年報に元会員見澤繁幸氏(現在新ハイキング誌創立時より天城万三の筆名で名編集長として健筆を振い最近は同誌の顧問として尚活躍作家井伏鱒二氏に私淑、軽妙洒脱な筆致で「八方やぶれ一人旅」を近代文芸社より発刊)が詳細に報じておりますが五拾周年後の拾年間にも私達と行を共にした岳友が次々に他界して此の意義ある六拾周年を迎える事が出来なかった事は返す返すも残念です。三峰は委員長初め各委員の熱情ある運営の下会員諸氏の団結で先般記念事業としてアラスカの高峰マッキンリーの登頂に成功の偉業を成し遂げるなど其の発展は目覚しいものがあり此の機に生き永らえた事は誠に幸せであると感無量です。創立者の宮坂氏は病魔に悩み、私も足腰が弱るなど誠に心淋しい日々ですが、送って頂く岩つばめで会員諸氏の若々しい山行文を楽しみにしております。
 益々会の御発展を祈っております。


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