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荒海太郎山
坂本 京子

山行日 1993年11月13日~14日
メンバー (L)菅原、金子、井上(雅)、服部、豊嶋、笠原、坂本

 10月20日に入会しました。宜しくお願いします。
 温泉が好きで今回、発の温泉山行は一も二も無く飛びつきました。ましてリーダーの菅原さんのご厚意に依り車利用とのこと。快適な温泉ドライブ旅行、山行はついでの鼻唄気分! はやる想いを抑えつつ11月12日荒海太郎山に向け出発。那須に近づくにつれ予想通り雨が落ちてきました。
 塩原温泉のはずれにある無人の温泉の駐車場にテントを張り、まずは一風呂と、菅原さん、金子さん、服部さん、井上さん、豊嶋さん、笠原さん、私と一人の落伍者も出すこと無く全員無事入浴終了。速やかに就寝と明日に備えました。
 翌13日6時起床、テント撤収後6時半登山口に向け出発。車中では次第に強くなる雨足に中止願望の声が上がり始めました。願望の声がやがて哀願に変わる頃、菅原リーダーはニコニコしながらきっぱりと強行策を取ったのです。心なしか皆重たい足取りで8時に登山口を出発、特に私は今日初めて履く重い革靴に平らな道の歩き始めからあえいでいました。
 荒海太郎山は、栃木県と福島県の県境に位置し、福島県側からは荒海山、栃木県側からは太郎岳と呼ばれるところから荒海太郎山と総称されているようです。1581mという低山にも拘らず、倒木やガレ場が多く、とても歩きづらい山道です。一向に止みそうもない雨に少々くたびれてきた雨具からは、じわじわと雨が染み込み内側は大汗、足下は鉛の様な重い革靴という三重苦を背負った私の身体は少し休むと震えがきます。
 急登上に9時25分着、10分休んで出発。さすがに屈強の山男達は悪条件などものともせず快調な足運びで、あっという間に私の視界から消え去りました。同じ日に入会した笠原さんはというと、前回山行の八海山を見事制覇したうえ、毎朝会社の9階まで土嚢をかついで上がる驚異的なトレーニングの成果が実り、山男軍団に一歩もひけをとらぬ歩き振りです。私の重い足取りは頂点に達し、運悪く私の後ろを歩いてしまった金子さんと服部さんは情け無い私のズルズル歩きに付き合うはめになってしまいました。
 滑ったり転んだりの繰り返しが続くうち11時15分、荒海太郎山山頂に到着。360度真っ白な霧の視界に恵まれ、楽しみにしていたキノコの姿すら見ることも出来ず、皆うなだれているようでした。直ぐ下の避難小屋にてそれぞれ昼食を取り、あまりの寒さに長居もできず、12時には早々におりて来ました。
 14時10分、車を止めた場所にやっと到着。冷えきった身体を温めようと会津高原駅そばの温泉へまっしぐら、人心地ついたところで今夜の幕営地探しです。あれこれ迷って決まった場所が県民愛用の小運動場といったところ、見るからに水はけの悪そうな地面に急いでテントを張り、おなじみの宴会が始まりました。和やかなムードの中、気になるのは激しさを増す雨の音です。心優しき男性達のお言葉に甘え、笠原さんと私は、車中で眠らせて頂きました。
 翌朝、墨絵の様な景色のなかに目覚め満足げな私達にひきかえ、昨日の大雨でテントの中はウォーターベッド状態。井上さんに到っては着ているものまで濡れてしまったのでした。濡れついでに弾みがついて最終日も温泉できっちり締めることと相成りました。場所はもちろんはじめに利用した無人の温泉です。
 心身共に温まったところで、皮肉な快晴の中、帰路につきました。
 こういう山行は何があってもまた参加したいとおもいます。リーダー始め皆様には足を引っ張りご迷惑をおかけしましたが、また宜しくおねがいします。

〈コースタイム〉
車(鉱山跡)(8:00) → 急登下(9:00~05) → 急登上尾根(9:25~35) → 休(10:15~30) → 荒海太郎山山頂(11:15~12:00) → 急登上(13:15~30) → 車(14:10)


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