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登山を終えて
植村 隆二

 登山を終えてみて、あらためて感慨が深い。
 今回の計画そのものも、自分のマッキンリーへの特別の想い入れから始まったかの感があるからだ。
 幸い、5人が登頂でき全員無事帰国することができた。創立60周年記念海外登山隊として、隊長の責にありながら十分にその任にこたえられなかったことを思うと素直に喜びたい。
 振り返ってみると、「海外登山は出発するまでが大変なんだ」とよく言われることが実感としてわかった。
 メンバー全員が登山隊を組織しての海外登山は初めてだし、6千mを越す高所も未経験なのだ。出発まで、やはり様々な疑問や不安、難題にぶつかったが、それらを解決して成功できたことはメンバー全員の事前のトレーニングや研究成果の賜物であると思う。
 これを機会に、各自が自分の登山の中での次のステップや山の楽しみ方に向けて山登りを続けていってもらいたいと願う。
 私自身の中では、「これで一区切りがついたな」と思う反面、何かがもの足りない。
 一昔前の計画のように、「カシン・リッジやアメリカン・ダイレクトからの集中ということでなかったからなのか」、「念願の単独山岳会で行ったではないか」いや、そんな事ではない何か忸怩たる思いがある。
 本当はすでに、自分の中で答は見つかっているのかもしれないが、満足しておこう。
 最後に、次の世代の人たちの大いなる活躍と会の発展を期待する。


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